読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1989年5月発行 広報よみたん / 8頁

保健婦だより「頑張る力が湧いてきた!!」-集団リハビリテーション「希望の会」を通して- 【写真:1】

 「倒れて以来家族の介助なしに、はじめて外泊することができました。障害をもっていてもやればできるのだと自信をつけましたよ。」-と、脳卒中で倒れ右半身マヒの不自由な体になって、三年になるAさんは目を輝かせて話してくれました。県内の身体障害者で組織する「がじまるの会」主催の伊江島研修に参加して、大きな自信をつけて来たようです。
 村内にも病気や不慮の事故によって体が不自由になってしまった方はいます。不幸にも障害を残すことになった時の本人や家族の落胆は他人では知ることのできないものがあったことでしょう。しかし、障害を克服して仕事に戻り健常者に負けずに活躍なされている方、社会復帰をめざし機能訓練に励んでいる方と、皆さんそれぞれに一生懸命です。そこで村では、昭和六十三年二月から疾病、負傷などにより心身の機能が低下しているものに対して、その維持回復をはかり日常生活の自立を助けると共に、相互の親睦を図る目的で毎月第二、第四金曜日に農村婦人の家で集団で行なうリハビリテーションを開設しました。
 コザ保健所の機能訓練士と保健婦が体操を中心にしたリハビリを行ない、ボランティアで民生委員の応援や、社協、役場職員の送迎等でスタッフ一丸となって運営にあたっています。参加者は当初九人のメンバーでしたが今では仲間の輪も広がり二十八人と増え、名称もメンバーの意見で「よみたん希望の会」と名づけられました。今年の四月からは手工芸も取り入れ内容もさらに充実してきています。この「希望の会」は、身体面はもちろんのことですが、村内の同じ境遇の者が一日に会し、リハビリを通して情報交換をする中から、「自分だけではないのだ。」「あの人も頑張っているのだから自分も頑張らねば…。」-と、心の支えを得るのに役立っているように思います。
 Bさんは読谷に転入してきて知り合いも少なくしかも障害をもっているということで家に閉じ込もりがちであったが、この希望の会の参加で生活に張りがでてきたと話しています。Cさんは、毎朝五時に起きて御主人の弁当づくりをしているとの事。それを聞いた他のメンバーが「自分もできることはやらなければ…。」という気持ちになったそうです。Dさんは、奥さんと連れだっての毎回参加。言語障害があり他人とは意志疎通に不自由を感じますが、夫婦間は「以心伝心。」”夫婦の絆”の強さを感じます。その他、三年ぶりに床に座ることのできたEさん等、様々な人間模様がみられるのもこの会の特徴だと思います。
「力!!ケ!!キ!!」と大きな声での発声練習、椅子に腰かけての運動、床の上での運動、ボールを利用した運動、内容も病院での訓練とは一味も二味も違った和やかな雰囲気で行なわれています。去年の十一月にはメンバーの希望もあって、初めての屋外リハビリということで東南植物楽園まで行き、階段や坂道の歩行、バスの乗り降りも体験し、いいリハビリになったと喜ばれました。十二月には、趣向を変え「年忘れ!!輪投げ大会」を行なうなどメンバー同志の親睦もはかっています。
 病院でのリハビリは一応終えて退院はしたけれど外出は病院受診の時だけとか、地域でもリハビリをしたいと思っていらっしゃる方、ぜひ「希望の会」の集団で行なうリハビリテーションへ参加してみませんか、機能維持はもちろんのことですが、「心の支え」を得ることも期待できると思います。
 Aさん、Bさん等と触れ合うことにより「頑張る力」が湧いて今までと違う自分が発見できるかもしれませんね。

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