「私の干支は申です」と言う時は生れ年のこと。もう少し改まって言うなら千支とは、五行に配分した十干と、十二支を組み合せたもの、となる。これには色々面白いことがある。
十干とは甲乙丙丁戌己庚辛壬癸で、これは十日までを数える文字であった。五行とは古代中国人が万物の原素と考えた木火土金水の五つ。これに十干を配分するとA表のように二つずつになる。その前のを兄、後を弟として十干を読むと表中のかな付け通りになる。次にこの十干と十二支を、甲子、乙丑のように組み合せていくと六十組できる。東亜では近年までこの六十年を単位として暦を作り年数を数えてきた。今年は一九九〇年庚午、次の庚午は六十一年後すなわち還暦は公暦二〇五年だ。今年生れる赤ちゃんたちガンバレ。
昔の人は自然や人事万般に、五行のそれぞれの働きが現われていると考えた。例えば丙午はA表B表で見るとどちらも火でその激烈な性を受けて生れた者という。俗信迷信が入り乱れているとはいえ、千支暦をめくるのは知的遊びの一つでもある。五行は十干や十二支や四季以外のものにも色々配分される。
C表を見れば青春や白秋などの語句の由来も分る。