読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1990年4月発行 広報よみたん / 3頁

一、はじめに

存への道が拓かれたのであります。
 会談の結果を受けて、ヨーロッパにおけるアメリカ軍の撤退や核兵器の削減等、我々が期待する現象が進みつつあるのであります。
 一方、アメリカのアジア太平洋地域の戦略にも徐々に影響が出てくるものと期待したいのであります。
 去る二月七日のハーディステイ米太平洋司令官の「在沖米軍基地に関する沖縄県民の感情」についての発言、同じく二月二〇日のチェイニー米国防長官の在沖米軍基地の視察等を見るに、ある程度の時間を要しつつ、沖縄の米軍基地にも返還や整備縮小に向けての何らかの動きが出て来るものと、県民は期待しているところであります。
 しかしながら、国際情勢とは裏はらに最近の県内における米軍ハリアーパットや都市型ゲリラ訓練施設など新たな基地の再編強化の動きもあり、基地問題に県民の声を結集して訴えていく必要があります。
 そして、又、我々沖縄県民は、復帰という体験を教訓とし、基地の返還という壁を乗り越えていく心の準備が必要であります。時代の波は人間の力では、くい止めうるものではありません。
 基地という壁を乗り超えたところに、沖縄の真の平和があり、地の利を生かした国際経済活動の拠点を形成し、亜熱帯の地域特性を生かした沖縄の産業経済文化があるのであります。汗を流し、黄金の花咲く沖縄を築こうという、したたかな主体性と創造性を持ち、展望を切り拓くことが最も重要であいます。そのことが、今、県民に問われているのではなかろうかと思います。
 現代社会は国際情勢の変化を通して見ましたように、平和共存に向かって大きく進みつつあります。その中にあって日本は国際化、情報化、多様化、個性化を唱えながら変化を遂げつつあります。国際社会に適応する人材の育成とか、個性豊かな人間の育成と言うことを、文部省をはじめ教育行政機関は強調するのでありますが、その理念と現実の指導のあり方は大きく矛盾する面があり、教育行政の学校現場への一方的な押し付けがまかり通るという現実は、民主主義の未成熟さを見せつけているようなものであります。
 教育行政も教育現場も、否、日本国民全体が、現在の平和共存の世界情勢の中にあって、あらためて日本国憲法と教育基本法の精神を深く認識され、その上に立って日々の実践に励むべきではなかろうかと思います。
 民主主義社会にあっては、誰もが口を開き正しいことは正しいと、はっきり言うことができ、又、言うことを認め合うことが、民主主義と自由のため、そして平和を守るために必要なことであります。それを認め合うことが日本の民主主義を質的に向上させるものであります。自分の意見と違うからといって、暴力でそれを抑え潰そうとすることは、現代の社会にあっては許せる行為ではありません。
 かつて、マッカーサーは戦勝国の司令官として、敗戦国日本に君臨したとき、「日本国民は十二才にしかならない」と言った。彼は民主主義の成熟度のことを言ったのだと思います。あれから四五年の歳月が経過しましたが、民主主義の立場からみて、現在の日本国民は、はたして何才になっているのでありましょうか。
 日本国民全体として、あらためて問いなおしてみる必要があります。
 復帰後、読谷村は「人間性豊かな環境・文化村」を目標にし、「二一世紀の歴史の批判に耐え得る村づくり」を合言葉に村づくり運動を進めてまいりました。
 その成果は、村民と行政が一体となっての努力の賜であり、村民の汗と涙の結晶であります。文化村づくり運動の内外の評価として、自治大臣賞「潤いのあるまちづくり」、内閣総理大臣賞「若い農業者グループ活動コンクール」、沖縄タイムス賞「自治賞」や座喜味地区が農村アメニティーコンクールにおいて国土庁長官賞に輝く等多くの村づくりの実践が評価されてまいりました。それらに続いて、昨年十二月五日、街づくり、村づくりの研究団体である「神戸都市問題研究所」より、地域経営活動動において、村民の努力と実績が評価され「営崎賞」の受賞の栄に浴することが出来たのであります。
 これは、読谷村の文化村づくりが全国的に評価されたことであり、全村民の喜びとするところであります。この表彰は、村民に大きな自信と誇りを与えることになったと思います。
 今年の二月一日から一ケ月間にわたって展開されました、福岡ダイエーホークス(坂井代表、田淵監督)の春季キャンプが、平和の森球場でくりひろげられました。読谷村民といたしましては初の体験でありました。これは、読谷村の村づくり運動にとって大きなイ
ンパクトを与え、村民に明るい希望を抱かせるものとなりました。一ケ月間のキャンプは、目に見える部分と目に見えない部分等、成果をおさめて無事終了することが出来ました。  それは、青少年をはじめ、村民に喜びと自信をうえつけることになったと思います。この成果は、人づくり、スポーツの振興、地域活性化等に結びつき、徐々に発展していくものと信じております。
 このキャンプは、読谷村の存在を全国に大き.く伝えられた一ケ月間でありました。
 読谷村の協力会との交歓会の席上、坂井代表と田淵監督から「キャンプは成果も大きく満足しております。今後もキャンプを読谷で続けていきたいと思います。」との挨拶がありました。読谷村といたしましても、前述の主旨をふまえて、来年も福岡ダイエーホークスをお迎えしてまいりたいと思います。
 先に述べた国際社会の平和共存への潮流は、まさしく日本国憲法の求めている精神であります。私は今年も又、日本国憲法と教育基本法の精神を我々自身のものとして、より人間的、より知性的、より主体的、より良心的に生きていくことを訴えたいと思います。
 したがいまして、日本政府の改憲論や軍備増強路線、自衛官募集業務等は、読谷村の基本理念にそぐわないものであり、それを認めることができません。過去の日本の歴史の教訓と平和憲法の理念及び読谷村の「非核宣言の村」としての村民意思を体し、今年も内外

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