ある日突然、交通事故で一家の大黒柱を失ってしまう。…
こうした例は、我が国では年間約千六百件にも及んでいます。
このような交通遺児家庭には、通常、損害賠償金が支払われます。しかし、これを短期間のうちに、無計画に使ってしまうケースが多く、その場合、遺児が成長して学費その他の費用を必要とするころには、すでに経済的な裏付けが失われているというのが実情のようです。
満十九歳になるまで確実に給付
こういった不安を抱える交通遺児家庭のために設けられたのが、交通遺児育成基金制度です。遺児が満十九歳になるまで、年金方式による育成資金の給付が受けられます。
損害賠償金などの中から、あらかじめ遺児一人当たり五百万円を(財)交通遺児育成基金に支払うと、国や民間からの援助金(平均約六十七万円相当)が加えられて給付元本となります。これが貸付信託で運用され、元本とその運用益すべてが遺児に還元されるというものです。
成長に応じて給付金が増額
加入資格があるのは、自動車事故で亡くなった人の九歳未満の遺児です。加入手続きは、各信託銀行にある申込書に必要事項を記入し、これに事故証明書と戸籍謄本を添える程度。家計状況などの審査はありません。
手続きが済むと、加入月の翌月分から、年金方式による現金給付が三か月ごとに行われます。年齢に応じて受け取る給付金の月額は次のとおりです。
○○~六歳未満三万二千円
〇六~九歳未満四万円
〇九~十二歳未満四万五千円
〇十二~十五歳未満 五万五千円
〇十五~十九歳未満七万円
満九歳の直前で加入しても、十年の給付金が確保でき、受取総額は約七百四十四万円。○歳で加入した場合には、約千七十万四千円になります。なお、この給付金には課税されません。
安定した制度で健全な育成を
昭和五十五年の基金設立以来、加入者は千二百四十七人(平成二年三月末現在)を数えます。設立当初は、毎年八百人の加入を見込んでいましたが、二百十九人をピークに、ここ数年、年間の加入者は百人前後となっています。
この制度が発足して今年で十年。これを機に、同基金では積極的にこの制度への呼びかけをしていく方針です。
遺児の健全な育成のため、安定した交通遺児育成基金制度をご利用下さい。
詳細は、(財)交通遺児育成基金(〒一〇五 東京都港区芝大門1-10-1全国たばこビル電話〇三-四三四-三六一一)まで問い合わせ下さい。