読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1991年4月発行 広報よみたん / 2頁

【見出し】平和憲法の理念と教育基本法の精神を!声高らかに「平和宣言」=人間性豊かな環境・文化村づくりめざして= 平成3年度施政方針 一、はじめに 【写真:読谷村議会:写真1】二、村政に対する基本姿勢 三、本年度の重点事項 四、本年度の実施項目(1)学校教育、生涯学習の充実並びに地域文化に関する施策 【写真:渡慶次小三味線クラブ:村立歴史民俗資料館(村立美術館):ダイナミックな創作「進貢船」】(2)産業経済の振興に関する施策 【写真:養殖事業の試験操業:特産品を買い求める家族連れでにぎわう「残波まつり」:内外より注目を集める陶器市】(3)社会福祉増進のための施策 【写真:デイサービスの日にも大活躍。送迎リフト「かりゆし号」:お年寄りの生きがいを求めて盛んなサークル活動(大正琴サークル):健康づくり村民のつどい】(4)生活環境の整備に関する施策 【写真:「座喜味児童公園」完成予想図:古紙回収でゴミの減量化を(楚辺区)】(5)読谷飛行場転用計画の推進 【写真:読谷飛行場転用全体計画図】(6)村民センター地区の整備促進・庁舎建設の推進(7)緑化及び美化運動の推進 【写真:婦人会を中心に盛んな美化運動(喜名区)】(8)行政区改善の推進(9)平和行政の推進 【写真:平和創造展】(10)比謝川沿岸整備事業の推進 【写真:自然環境に恵まれた比謝川流域】(11)海岸線の保全と整備について 【写真:県内屈指の景勝地として知られる残波岬】(12)「ノーベル平和賞を夢みる村民基金」収益金事業の推進 【写真:人間性豊かな環境文化村をめざした】五、おわりに」 

 第二一〇回読谷村議会定例会が三月十一日より三〇日までの日程で行われ、平成三年度一般会計予算はじめ、水道事業会計予算、国民健康保険、老人保健、診療所などの特別会計予算の他、多くの議案が審議されました。
 三月議会は、四月一日より執行される新年度予算について審議を行う通称「予算議会」ともいわれ、議会冒頭に述べられる「施政方針」はー村政の基本姿勢を示し、予算成否の重要な「カギ」を握るもの一とされており、山内徳信村長は「平成三年度施政方針」全文を読み上げ、議員並びに村民各位の理解と協力を求めました。
 その中で山内村長は、本年度も平和憲法の理念と教育基本法の精神に立ち「平和憲法の生活化」を基本姿勢に、声高らかに「平和宣言」するとともに、地方自治の本旨に基づく「人間性豊かな環境・文化村」づくりを目標に諸施策を打ち出しー二十一世紀の批判に耐え得る村づくり一を村民とともに自主・主体的に展開して行くこと表明しました。

一、は じ め に

 本日ここに、第二一〇回読谷村議会定例会の開会に当たり、一九九一年(平成三年)度の予算案をはじめ諸議案の説明に先立ち、村政運営の基本姿勢と所信の表明を行います。本年度も議会議員をはじめ村民各位の深いご理解とご協力をお願い申し上げます。
 さて、私たちは平成の時代に入り、国内的にも国際的にも平和な時代になることを心から願い、米ソの協調路線、ペレストロイカ、ベルリンの壁の崩壊・東西ドイツの統一等、世界の平和協調、人類共存への歩みに大きく期待をかけていたのであります。
 ところが、その期待はイラクのクウェート侵攻によって裏切られ、遂に、イラク対アメリカを中心とする多国籍軍との悲惨な中東湾岸戦争という予期せぬ事態に陥ったのであります。中東湾岸戦争勃発に際し、それぞれ当事国は聖戦論や大義論を唱え、自国の立場の正当性を強調しておりますが、この論理は従来の「力による制圧論」であり、多くの教訓を残したものと思います。それは罪のない多くの国民が戦争にまきこまれ犠牲となることであり、局地戦であっても世界をまきこみ、地球環境を破壊し、人類生存の基盤をも失う恐れのあることであります。
 我が日本政府にあっては、昨年「国連平和協力法案」が国民的反発にあい廃案になりました。そのことの反省もなく、今回は、政令改正という常識では考えられない姑息な手段でもって「自衛隊機の派遣」を強行しようとしたり、また「多国籍軍への九十億ドル(一兆一千七百億円)の援助)等、正に戦争への実質的な協力であり参加であります。これら一連の動きは憲法の枠を越えるものであり、憲法そのものをくずし既成事実をつくり上げようとする意図は明白であります。
 かつて、第二次世界大戦の一当事国であり、アジアの国々への侵攻国日本が、戦後、戦争の教訓を生かし世男に誇れるものとして制定されたものが日本の平和憲法であります。平和憲法を有する日本が中東の湾岸戦争にまでかかわりを持とうとすることは、憲政の道を踏み越え、日本の将来への道を誤らすものであります。
 日本のとるべき道は、平和憲法に依拠した主体的な平和外交の展開と、中立的立場から被災者援助をはかるとする国際赤十字の精神に徹した活動が望ましく、停戦後は、戦災復興、平和再建の為に全力を尽くしていくことが、日本の国際的威信を高めることにつながるものと確信するものであります。
 基地の島沖縄の立場からみても、世界が平和にならなければ沖縄に平和は訪れません。そして、沖縄の基地問題の抜本的解決も困難であります。
 戦後四十六年間、米軍基地が日本国内に存在することによって、朝鮮戦争、ベトナム戦争、今回の中東湾岸戦争と、米軍の発進又は補給基地として戦争の残酷さを見せつけられてきました。しかしながら、直接日本の青年達が戦場に送り込まれることなく、又、銃を取ることなく過ごせたのは、実に平和憲法のお蔭であったと思います。若し、日本に平和憲法がなかったとすれば、既に、経済大国を背景として軍事大国になっていたことは、今日の日本政府や自衛隊の動きを見れば肯けることであります。
 読谷村政が復帰後一貫して平和憲法の理念と教育基本法の精神に立って村政を進めてきた所以は、正にそこにあったのであります。
したがいまして、今年も憲法の精神を尊重し、「非核宣言の村」としての村民意思を体して、日本政府の改憲論や軍備増強路線、自衛官募集業務、自衛隊機の海外派遣等を容認せず、内外に声高らかに「平和宣言」をするものであります。
一、われわれは、自衛隊の海外派遣等に反対し、日本の主体的な平和外交の展開を政府に強く求めます  。
一、われわれは、反核、反戦を貫き、平和を守り人類の存続と文化創造のために奮闘する。
一、われわれは、我々と我々の子孫の幸せと繁栄をめざし、平和な社会を築くために奮闘する。
一、われわれは、読谷村民の住みよい生活環境の確保をめざし、基地公害を拒否するために奮闘する。
一、われわれは、読谷飛行場内の米軍落下傘演習場の早期撤去を求め、転用計画実現のために村民の知恵と力を結集して奮闘する。
以上のことを村民に訴え、あわせてその実現のために、村民とともに、奮闘することを決意するものであります。
 今年は第二次沖縄振興開発計画期間の最後の年になりますが、読谷村の村づくり運動が、地域特性を活かした健全な村づくりの実践であったと、その実績が評価され去る二月二十八日全国町村会より「優良町村」として表彰を受けましたことをここにご報告申し上げます。今年も諸制度の活用によって本村の生活環境の整備、生産基盤の整備、学校教育施設の整備等、社会資本の整備拡充のため一層の努力をするとともに、ソフト面においては村民の健康と医療及び地域福祉の面で、更にきめこまかな配慮をしつつ事業を進めてまいりたいと思います。
 そこで今年度の事業の中で新規又は特色あるもののいくつかを申しあげますと
 第一は、「読谷村平和行政の基本に関する条例」を制定することであります。これは、日本の平和憲法の理念を尊重し、人類の恒久平和を願い、平和行政を推進するための条例の制定であります。
 第二は、重度心身障害者(児)医療費助成事業と高齢者ふれあい介助費の創設であります。医療費助成事業は障害者の健康保持と家庭生活の安定を図る立場から、また、ふれあい介助費は地域福祉の組織づくりとデイサービスを高める立場から、新たにこの制度を発足させてまいります。
 第三は、新たな保険給付事業をスタートさせてまいります。これは国保加入被保険者が「人間ドック」や「はり・きゅう、あんま・マッサージ」の治療、施術等を受けた場合、その経費の一部を国保会計で負担し、被保険者の健康の維持、増進をはかる立場から、新たにこの制度を発足させるものであります。
 第四は、読谷飛行場転用計画に基づく、村民センター(庁舎等)の建設準備を今年度から具体的に進めていくことであります。
 第五は、楚辺地域を中心に公共下水道が具体的に着手されることであります。
 第六は、比謝川沿岸整備計画の完了に伴い、具体的な事業を推進していくことであります。
 第七は、読谷小学校に水泳プールを建設していくことであります。これをもって村内小、中学校すべての学校にプールが整備されることになります。

※続く。

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