ロ、宇座地区土地改良総合整備事業
本地区は平成元年度に事業採択されて三年目を迎えます。これまで一三・八ヘクタールの圃場が整 備されました。今年度は九・三ヘクタールの圃場と二千四百三十九メートルの農道及び二千二百四十 五メートルの排水路を整備してまいります。
ハ、波平地区県営畑地帯土地改良事業
本地区は県営事業として昭和六十年度に事業導入されこれまで二十七・一ヘクタールの圃場 が整備されております。今年度は引き続き九・一ヘクタールの区画整理と基幹農道四千五百五十メートルの 整備を行うことになります。
二、県営かんがい排水事業
昭和五十七年度から始められた長浜ダムの建設は、ダムの本体となります堤体工事が実施されてお り、平成七年を完成予定に進められております。今年度も継続して提体工事が実施されます。また昨 年は、ダムの末端受益地区の二百八十ヘクタールのかんがい排水事業を推進するため、長浜川土地改 良区設立推進委員会が結成され、事業の推進体制が確立できました。今年度は末端受益地区の特定作 業と土地改良区設立の具体的な作業に入ってまいります。
②農業構造改善及び地域農政の推進
本村の農業は復帰後精力的に推進してまいりました土地基盤の整備とビニールハウスを中心とする農業近代化施設の整備等で地域特性を活かした農業生産が拡大しつつあります。
しかし、経営規模の拡大や農業用水の確保、特殊病害虫の駆除等農業経営課題も山積しております。
これらに対処していくためには農業の組織化、担い手農家の育成をはかり収益性の高い農業構造を確立する必要があります。
本村といたしましては、これまで農業構造改善事業等の導入により施設型農業を推進し、一定の成果をあげております。昨年度は沖縄の自然条件を活かした農業を推進するため、読谷観葉団地の設置と花卉の集出荷場を建設してまいりました。今後は施設の有効な利用で農業経営の安定向上を期待するものであります。これからも構造改善対策を継続するとともに、土地利用農業及び市場適用型の農業を推進してまいります。
また、特用作物であります読谷紅いもを地域活性化の戦略としてブランド化をはかり「紅いもの里」づくりをめざします。そのためメリクロン苗(成長点培養による無菌苗)の導入、採苗圃の設置を行い、生産農家に良い苗を供給して紅いもの生産拡大に努めます。
さらに、地域農政推進対策として、今年度も引き続いて農用地規模拡大促進、農用地流動化斡旋等を実施するとともに農用地利用の適正化に努めます。
他方、健全な農村環境の整備をめざし、昭和六十三年度より進めております渡慶次、儀間地区の農村基盤整備事業は平成二年度までに集落内道路一千九百七十八メートルと農業用排水路五百二十七メートルを整備し、生活環境の向上に寄与しております。本年度は九百四十メートルの道路改良と五百二十メートルの農道、渡慶次と儀間の農村公園を整備してまいります。また、儀間地区の多目的集会施設の実施設計を行ってまいります。
③畜産業の振興
国際化時代を迎え、世界の貿易ルールは国境障壁を取り除く方向にあります。
この農産物自由化の動きは、日本農業に大きな課題を背負わせております。特に本年四月一日より牛肉の輸入数量の制限が撤廃されるため、畜産業もまた大きな転期を迎えます。国としては肉用子牛の価格補填制度等の価格対策や高品質の肉用牛生産等の経営安定対策などを実施することになっております。一方、国内の生産農家では産地間競争の激化が予想されております。また、豚についても価格の下落が続いており養豚経営も苦しい状況にあります。
本村といたしましては、これらに対処するため優良種畜の導入、優良飼料作物の普及、防疫対策の強化をはかっていく必要があります。そこで、今年度は優良子牛の増殖をめざし人工授精機具の整備、さとうきび梢頭部の飼料活用、さらに飼養管理技術の向上をめざしてまいります。併せて、畜産農家の連携、経営意識の高揚を目的とする畜産まつりの運営に助成するとともに、畜産団体の育成に補助してまいります。また、養豚経営を向上させるため、優良種豚の購入補助を継続し、新たに予防注射手数料に助成するなど畜産業の振興に努めてまいります。
④漁業の振興
外国からの水産物の輸入量の増大や近海における漁業資源の減少など、漁業環境も多くの課題を抱えております。このような漁業環境を背景に県内の漁業は資源管理型漁業としてパヤオ漁業と、つくり育てる漁業としての増養殖漁業へと着実に変化し、漁業の近代化が進んでおります。 本村におきましては、これまで漁業生産の基本的な施設であります漁港の整備を促進してまいりました。また、漁業構造の改善をはかるため荷捌施設、給油施設、製氷施設、巻き揚げ施設等の整備をはかり、昨年度は水産構造改善事業として、マダイ、アイゴ、タマンの養殖とツンブリ、ガーラの蓄養試験事業を実施し、今後の漁業生産へ明るい展望が開かれました。さらに、漁船漁業の振興をはかるため漁船購入補助を行ってまいりました。
今年度は養殖事業の試験操業及び漁船購入補助を継続実施してまいります。また、新たに県補助による浮沈式生實設置事業を推進し、外海での養殖事業拡大への足がかりをつくってまいります。さらに、魚の流通拡大をはかるため、荷捌施設の整備に助成をし漁業経営の拡大に努めます。他方、第八次漁港整備計画に基づく漁港の整備を促進するとともにオニヒトデ等有害水産動物の駆除事業を実施してまいります。
⑤商工・観光の振興
国際経済は二十一世紀へむけて相互依存化、経済活動のグローバル化が進み、貿易においては、ウルグアイラウンド(新多角的貿易交渉)に見られるように農産物を中心とする日本市場に対する開放要求が強まり、さらには日米構造問題協議の中間報告を受け、大店法の改正が今国会に提出され小売業市場の競争の激化が予想される等、わが国の経済は重大な岐路に立っております。
これらを背景にわが国の経済は、近年の円高定着の下で、経済構造調整が着実に進展し、内需主導型の経済成長が実現しております。また、技術革新、情報化、国際化、消費者ニーズの多様化、高度化など経済のソフト化、サービス化が急速に進んでおり、企業経営活動に大きな変革をもたらしております。
県内においては、観光産業が好調に推移し、経済動向も個人消費、設備投資を軸に拡大基調で持続してはいるものの、依然として移輸出入差が極めて大きく、また財政依存度が高いなど、経済体質は弱い状況にあります。
このような内外の状況下で、商工会を中心に行政及び地域の経済団体等が業種、職種をこえて相互の連携の下に商工業の発展と地域経済の活性化のため自助努力を展開しております。
昭和五十九年度の商工業のビジョン設定を契機に地域活性化事業が継続的に進められ、紅いもを中心にした特産物の開発が行われ、高い評価を得ております。
今後は、これらの特産物の安定生産と販路拡大をはかるため、生産基盤の拡充と市場の開拓が必要であり、第一次産業従事者との横の連携を緊密にし、加工と流通体制を村民の手で確立し、リゾート観光と結びつけることによって市場の確保と販路の拡大をめざしてまいります。
昨年まで第三セクター方式による事業の調査研究を進めてまいりました。今年度はその実現性について村内経済団体等と話し合いをすすめてまいります。
商工会は地域経済を支える先導的な役割を担っており、商工会運営に助成を継続するとともに、組織の充実強化を促進し商工業の発展に努めてまいります。
一方、観光については、残波岬いこいの広場を中心にレクリェーション施設等の整備、史跡等名所の整備を行い拠点づくりを実施するとともに、残波まつり、伝統工芸の振興、特産品の開発生産と併せて観光産業の体制づくりに努めてまいりました。本村にはリゾート施設として沖縄残波岬ロイヤルホテルがあり、観光客も増加しております。さらには、地元主体によるゴルフ場も着工され、また、もう一方のリゾート計画も進行中であります。今後はリゾート施設、レクリェーション施設、名所・旧跡、伝統工芸及び特産品等を有機的に結びつけ、観光産業の育成と併せて、農業、製造業及び商業への波及効果を高めてまいります。
このように本村は沖縄県の観光拠点の一つとして発展していることから、本年度も観光施設整備事業として残波岬いこいの広場の遊歩道及び照明灯の整備、観光地修景緑化事業、観光案内標識整備事業等を実施してまいります。また、「沖縄・海のカーニバル」事業の一環として位置づけられる「残波まつり」は、今年で七回目を迎え読谷及び沖縄観光を全国的に印象づける観光イベントとして定着しており、今年度も継続開催してまいります。
※続く。