読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1991年9月発行 広報よみたん / 2頁

【見出し】福祉のイーマールを目指して-よみたんの高齢社会を考える地域福祉推進懇話会- 【写真:1】ねらい 厚生課 社会福祉協議会 環境保険課 保険年金課 社会教育課 まとめ

 厚生省は、一九九〇年の国勢調査等を基に二十一世紀の日本の人口動向「日本の将来人口推計」を発表。それによると一九九八年には六十五歳以上の老年人口か十四歳以下の子供人口を上回り”老若逆転”状態が出現。二〇一九年には四人に一人、二〇四五年に三・六人に一人か老人という「超高齢社会」が到来すると予測した。
 読谷村でも一九九一年一月末現在六十五歳以上の高齢者は二九一二人と高齢化率は、九二八%となり、確実に高齢化社会に向かいつつあります。
 しかも、高齢社会で懸念される一人暮らし老人が一六八人、寝たきり老人が一二〇人と、高齢社会の課題もクローズアップされてきています。
 このような本格的な高齢社会の到来を目前に控え、初めての企画「よみたんの高齢社会を考える地域福祉推進懇話会」が七月十一日に村福祉センターにおいて開催されました。これは、高齢者の保健福祉の推進を図り、在宅福祉サービスと施設福祉サービスの双方がきめ細かく一兀的に、かつ計画的に提供される体制づくりを進める。また、今後の読谷村の地域福祉のあり方について、村内の多くの関係者で、現状を踏まえていろいろ意見を述べあい、その中から「読谷村にふさわしい方向性を見つけだす」さらに、沖縄の伝統的な「ユイマール」の互助精神をいかして、地域ぐるみで福祉活動・福祉のネットワークづくりを目指すことをねらいとしたものですし会場には、民生委員、、家庭奉仕員、婦人会、老人会、議会議員、各団体などから一三〇人余が参加して、、高齢化社会における地域福祉の望ましいあり方を求めて■を大テーマに活発な意見が交わされた 主旨説明で山内徳信村長は、これからの二十一世紀に向け、健常者も障害者も共々に昔あったたユイマールの心を高齢化社会のために甦らせ、全ての人々が全てのお年寄りを支え、いたわりあう社会をつくっていこう。歳とっても心が和やかになる地域社会・福祉社会・長寿社会をつくる方策を模策しよう」と挨拶し、福祉推進への協力、知恵をだしあうよう呼び掛けた
 懇話会は、この後、読谷村の福祉行政について厚生課、社協、環境保健課、保険年金課、社会教育課からの現状報告か順次行なわれました。
 【厚 生 課】
*老人福祉行政の状況について
 福祉行政は、村民一人びとりが支えあう関係として、地域社会も含めて日常社会の中で互いにたゆみない努力を重ね、一歩一歩目標に向かって進めていくことが大切であり、各種の福祉団体や多くの村民の協力を得て、「共に生き、共に支えあう「福祉村づくり」を求め、ユイマールの心て様々な福祉活動を行い、社会的弱者への福祉向上を図る諸々の施策を実践して活力ある福祉村づくりに努めています、
 健康で、生きがいのある老後を過ごしていたたくために
①生きがい対策事業
②在宅福祉対策事業
【社会福祉協議会】
*在宅福祉サービス現況報告
①喜名地区在宅福祉推進モデル活動(喜名福寿会)
②渡慶次いぶし銀会の活動を展開。
【環境保健課】
*老人医療・健康づくりの現況について
 老人医療費の年度別の伸率・動向及び診療種別構成比・受診費件数、医療費等を、五ヶ年間の統計グラフにみる限りにおいて、年々、確実に増加を一途をたどり、老人医療費の節減に努めるべく、「健康づくり」を推進。
【保険年金課】
*老人`医療・年金の現況について
 読谷村においても療養費(保険給付費)が年々上昇し、高齢化が進むなか国民医療費も増加しつつある。年齢別にも六十五歳以上の老人が全体の約四割をし占め、今後も高い伸びを示すことが予測され、このようなことから総合的な保健・福祉対策として国ては「高齢者保健福祉推進十ヶ年戦略」が策定され、地方、地域にふさわしい体制づくりか求められる。
 高齢社会を考える場合「あすは我が身」ということを忘れてはならす、地域(村)の健康保健方策、つまり自らの健康管理として、飲食の問題、日々の栄養改善を図りつつ自助努力で健康保持をしなければならない。「村民の健康がわか村の大きな財産である」ことをを提唱する
【社会教育課】
*公民館講座・人財活用について
 ある老人クラブのいろはカルタに込められた高齢者の老後の不安は、健康・経済・孤独という項目が圧倒的に多いという。高齢者がいかに健康に関心を寄せているかかわかる
 このため、社会教育事業として、
①シルハバーエイジ健康づくり教室
②ウォークラリー大会・健康づくり村民のつどい
③体育の日・軽スポーツ大会
等、高齢者か気軽に参加できる事業を行ない、また、日進月歩の社会にあって高齢化や余暇の増大など、環境の変化が進む中、村民の生涯学習への関心の高まりと、多くの村民の学習ニーズに応えるべく「地域に根ざした生涯学習」をモットーに特色ある学級・講座の開設、自治公民館講座の確立などを重点目標にすえ、活気あふれる活動を推進する。
 以上のように、読谷村の高齢社会への動き、在宅福祉・施設福祉、地域にふさわしい老人福祉の体制づくり、二十一世紀に向けての望ましいあり方を求めた「福祉のネットワークづくり」を目指しての現況が説明されました。
 午後からは、フィルム観賞の後「討論会」が展開され、参加者がそれぞれの経験・実践の立場から活発な意見、一質疑応答が交わされ、今後の展望・課題等に真剣な討論が続けられました。 午前・午後に亘る長時間の懇話会は、今回最初の取り組みで早急に結論を導くことはできないまでも、一今後における高齢社会の対応、今後の方向づくりをしていくための模策、意見集約が行なわれました。
   ま と め
 高齢社会において、「福祉・保健・医療」は不離一体であり、切り離しては考えられない。従ってこれからの地域福祉においては市町村の「地域福祉計画」の策定が重要である。
高齢者が心豊かに暮らし、社会参加への機会づくり、高齢者を暖かく迎える社会を築くことの施策が必要である。それはまた、高齢者の求めている生涯を支えることが可能な経済的基盤(雇用)を持つこと、即ち、高齢者の人生経験・知恵を生かした働く場所をつくり喜びの心をつくってあげる施策を意味するものである。
 しかし、そのことはまた、高齢者自らが「いつまでも健康でいること、友人や仲間がいて孤独にならないこと、年老いても自分がすることができる技能や特技を持っていること、またそうしたものを生かして活動ができること」が求められ、これらは行政の努力のみで現実化するものではない。心要なことは、施設やサービス以上に意識の改革、何よりも高齢者自身の生き方への積極性が必要となってくること。
 今、地域の活性化が叫ばれている中、地域や社会は高齢者が持っている技能・知恵・経験を生かすことによってより活き活きとし、このことはとりもなおさず高齢者が「生きがい」をつかみ「心の豊かさ、真の豊かさ」を実感することにつながる。
 また、将来の不安に「出生率の低下」の問題もクローズアップ。
 若い者が自分の将来、高齢化を考える機会を持ち、出生率の低下の問題を真剣に討論し、将来は数少ない若者が高齢化社会を支えることになることを認識することが必要ではないだろうか。
 高齢化は、将来の自分自身の身に必ず訪れることである。他力本願ではなく、主体的に取り組んでいくべきである。
 また、長寿社会にあって、「長生きしてよかったという時代」、「明るいイメージの福祉社会」を目指して、人生五十年時代の社会システムを人生八十年時代へと変えていくための指標として
 ①個人レベルの課題
 ②家族レベルの課題
 ③地域(字)レベルでの取り組みと課題
 ④村(国・県)レベルでの取り組み
等を討議テーマとして、深く幅広い地域福祉の体制づくり、その方向性が話し合われ、「よみたんの高齢社会を考える地域福祉推進懇話会」は、福祉のユイマールを目指すことを参加者全員で確認し、散会しました。
 琉球民謡は語る。私たちがよく口づさむ民謡に”ちんさぐの花”がある。
 その歌詞にはウチナーンチューの祖先のくめどもつきない思いやりの心情・真理・哲学が込められている。
●ちんさぐの花や爪先に染めて
  親の寄せ言や肝に染めれ
 (先入の生きる知恵、経験の伝承、発展)
●宝玉やても磨かねば錆びす
  朝夕肝磨ち 浮ち世渡ち
 (生涯学習を通して心身を磨き人生をたくましく生きぬく心意気)
●行き足らぬ事や
      一人足れい足れい
  互に補なてる 年や寄ゆる
(相互扶助=イーマール・イーカー二ーの精神)

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