読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1991年9月発行 広報よみたん / 5頁

【見出し】短歌集 残波岬15冊を贈呈 津波古勝子さん(横浜在) 【写真:1】

●残波岬の珊瑚礁をふかく抱く海 ぬけぬけと明るき波寄する見ゆ
●読谷のチビチリ洞へつづく道 夾竹桃の真白に咲けり

 県出身者で短歌集団「未来」会員の津波古勝子さん(50)=横浜在=が、旧友の比嘉愛子さん(楚辺)を介して、津波古さんの編み上げた作品、第一歌集「残波岬」十五冊を読谷村にプレゼントされました。
 その贈呈式が七月二日午前、村長室にて行われ、作品を手にして山内徳信村長は「表紙の”残波岬”は読谷の誇りとする名であり、これはすごい作品である。児童生徒が読めるように村内の小、中、高校の図書館に配りたい。心から感謝します」と述べられ、更に「津波古さんは、郷里に非常に愛着をもっているご夫婦。沖縄出身の歌人として益々ご活躍されることを期待しております。」とお礼を述べた。
 著者、津波古勝子さんは、沖縄の歴史に流れる宿命的悲しみを、難しいといわれる「戦争」をテーマに、自らの人生を重ねて歌を読む。そこには沖縄の人間としての強い使命感が抱かれ、残波岬、チビチリガマ、基地、演習と戦世をいまだひきずる読谷村を、沖縄の縮図としてとらえ、歌集に「残波岬」と命名されたのである。
 著書「残波岬」は、作品二千首余の中から、五百首ほどを選んで編集された処女作であり、津波古さんの「生きて悲しみに耐えている人々にささげたい」という思いが託されて編み上げられた歌集。
 戦後の混沌とした時代に生きたものへの共感と、沖縄の心を呼びさます歌集に相違ないと評されている。(六法出版社、旧四六判、二、二〇〇円)

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