中秋の名月が座喜味城を、煌々と照らし、城空間を舞台に時空を超えた夢想の世界(演劇)が繰り広げられていった。
九月二十四日、二十五日の両日の夕、演劇空間「大地」(主宰・照屋京子)主催の『シェークスピアin座喜味-真夏の夜の夢-』が旗揚げ公演。西欧演劇と琉球芸能を組み合わせ、城を活用した異色の”城劇”に延べ千二百人余が参観、観客はウチナーグチ、英語、日本語の入り交じった型破りなシェークスピア”喜劇”に笑い、神出鬼没な演技に驚嘆し歓声をあげ、城壁に囲まれた独特の雰囲気の中、俳優の迫力ある演技と熱気、観客と一体となった演出に時を忘れ、シェークスピア劇に興奮し、酔いしれ、拍手した。
県内では初めて城跡を演劇の舞台として利用。ユニークな試みと大胆な発想で”城演劇”の可能性を目指す「大地」と、地域活性化の一環として『城跡の活用』を目指す本村の思いが一つになり、この城を劇場の舞台とする大胆な発想は、公演前から村内外から注目を浴びて話題を呼び、一夜だけの予定が急きょ追加公演となった。
上演には読谷村教育委員会を始め、商工会、読谷農協、漁協、婦人会、青年会がスタッフとして全面的にバックアップ。また、劇中には読谷村の民俗芸能「長浜の作田米」、「座喜味俸」や「残波大獅子太鼓」「読谷高校ダンス部」が共演して登場するなどの企画が盛り込まれ、総勢百名余の村民が協力し公演を支えました。
座喜味城へ結ぶ松林の通路には灯籠が灯り、城門には琉球王国時代の衣装を身にまとった門番が立ち、入場する観客は時代、空間を飛び超えた世界に感動し、心揺さぶられた。
演劇を鑑賞した山内徳信村長は「城は文化財として保存することも大切だが史跡的価値だけじゃなく、文化村創造の一環として積極的に活用することも重要。村としては文化村づくり、人づくりの一環として若者を中心に『大地』の演劇について積極的に関わりを持ち取り組んだ」と話し、また「世界の文豪の作品シェークスピアの中に地元の芸能を取り入れたのは重みと迫力をもたせた。西洋と東洋の芸能が重なりあい、城という空間を観客と演技者が一体となってうまく利用して城空間を完全に使いこなした。空間に負けない熱演がダイナミックな演技に結びついた。大成功だ!」と評し称賛した。
また、城演劇の演出、脚本、出演と三役をこなした照屋京子主宰は「座喜味城は県内でも最も美しい城であり、皆の気持ちが集められている城である。いちばん気に入ったので座喜味城を出発点として演劇活動をするのが夢であった。稽古にものびのびと演技をさせて頂き、何よりも協力を惜しまず支えて頂いた村民の皆様に感謝をしています。沖縄の城はすばらしい、今後も中城城や首里城などの城を中心とした演劇活動を展開して頑張りたい」と語り、読谷村民への感謝の気持ちと、旗揚げ公演の成功に意を強くしていました。
シェークスピアin座喜味・真夏の夜の夢
物語は、座喜味城の若き主・護佐丸の婚礼の時刻が迫ったころからかじまる。幸せの頂点で花嫁・異国の女王(マダム・バタフライ)と語り合っていると、そこへ婚約者がいながら別の男と恋仲になってしまった娘(チルー)をつれて■来(長浜の主)が登場。父親の言いつけにそむくならば、習慣により、罰してほしいと口上。罰とは死を意味している。娘と恋人(雷三郎)は駆け落ちをするが、それを知った娘の婚約者(デメトリアス)があとを追い掛ける。さらにその男を別な女(マリア)が追いかける。この追いかけっこを見た精霊の王(アコウの大主)は、恋の実を使って解決をはかってやろうとするが、精霊の家来(まれびとう)が恋人同士をまちがえ、大混乱。
しかも精霊の王自身も奥方(聞こえの君)と別居中。
嫉妬に駆け引きがとびかい喜劇がさらに喜劇をよんでいく・・・・・・。