読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1992年4月発行 広報よみたん / 5頁

※続き。原本 頁03~

③文化財の保護並びに文化創造運動の展開

 文化はこの大地に生きる人間の生活の証であり、人類発展の姿であります。と同時に、人類のみが持ち得る崇高な諸活動が集約され開花した現象であります。私たちは、それを正しく受け継ぎ、更に発展させていかなければなりません。また、文化は豊かな地域社会を形成する培養体でもあり、地方自治の確立につながるものでもあります。
 先人の遺した貴重な文化遺産を発掘、収集、保存、調査し県内外の人々に公開展示するための歴史民俗資料館は、毎年その活動が継続発展され、郷土学習の場、観光拠点の一つとしても活用されており、これからも尚一層の充実をはかってまいります。
 読谷村の文化村づKりの一環として進められてまいりました美術館は、開館三年目に入ります。これまで県内の画家や彫刻家、陶芸家等のご協力で種々の展示会が催され好評を博しております。これからも、二十一世紀へ大きく翔く人材の育成をめざす教育機関として学校教育、社会教育と有機的につながりをもたせ、文化芸術活動及び情操教育の充実発展をはかってまいります。
 また、読谷村における美術、工芸等の創作活動の発表の場でありますアンデパンダン展は、今年で十二回目を数えますが、その内容はますます充実してきており、今年度も継続開催してまいります。
 近年私たちの日常生活の中で沖縄独自の文化としてのウチナーグチが見直され、ウチナーグチによる弁論大会や芝居が取り組まれるなど、その重要性が叫ばれております。沖縄の言葉は、沖縄の最大の文化であり、言葉が衰退するとき文化もまた衰えるといわれます。ウチナーグチは私たちの暮しの中に息づいてきた大切な文化遺産であります。そこで、もっと気楽にそして楽しく、本来のウチナーグチを学び後世へ伝える事業として今年度から「沖縄口講座」を開設し、沖縄の豊かな文化運動の一環として進めてまいります。
 また、私たちの祖先が平和な村への祈りを込め、芸能に情熱を燃やし、たくましく生き抜いたムラアシビの形態を再現し、読谷の芸能の復活、継承をはかるため「ユンタンザムラアシビ」(仮称)を開催し、文化振興の一助にしたいと思います。
 村史編集事業につきましては、第四巻の「読谷村の民俗」、第五巻「言語・教育・人物」、第六巻「読谷村の戦争体験」についてそれぞれ編集作業を進めているところであります。
 また、村民の文化創造活動の総合的な発表の場である「読谷まつり」は、「地域に根ざした産業・経済・文化・芸術の発展を」をテーマとし「泰期ははばたいた、いま読谷の自立を求めて」をスローガンに村民総参加の一大イベントとして定着しております。なかでも創作「進貢船」は、五〇〇年前の大交易時代を再現するかのようなスケールの大きさとダイナミックな舞台演出により参観者に大きな感動と勇気を与えてまいりました。しかしながら、進貢船も老朽化が進んでおり、本年度は新しく進貢船を建造してまいります。

(2)産業経済の振興に関する施策

 本県は、二十七年間におよぶ異民族の支配によってもたらされた特異な経済構造と島嶼性に起因する劣悪な経済環境下にありながら格差是正、自立的発展に奮闘してまいりました。この間、沖縄振興開発特別措置法に基づき第一次、第二次振興開発計画が実施されてまいりました。しかし、本県の脆弱な経済構造は今なお本土各県との格差が大きいため、第三次沖縄振興開発計画の策定が進められつつあります。
 地域における産業経済は住民生活の基層をなすものであり、潤いのある村づくりを実現するためにも欠くことのできないものであります。そこで、国内外の情勢を適格にとらえ長期的かつ多角的な視点から展望した産業経済の振興策をはかることが重要であります。
 それは人、物、資金等地域の資源を活用し、さらには潜在的なエネルギーを掘りおこすなど地域主義の理念に立脚した産業おこしが基本であると考えております。
 そこで、今年度における産業経済の振興として次のような施策を実施してまいります。

①農業生産基盤の整備

 我が国の農業をめぐる国内外の状況は、極めて厳しいものがあります。そして、現下の農政の方向は作った物を売るという考え方から売れる物を作るという市場適応型の農業へと進展しております。それに対処していくためには需要の動向に応じた生産性の高い農業の展開をめざさなければなりません。
 本村ではこれまで、先ず生産基盤の整備を精力的に進め、座喜味地区、渡具知地区、西部連道地区、渡慶次地区、浜屋地区、萩川地区、宇座地区、波平地区で土地改良事業を進めてまいりました。その結果、約二四二ヘクタールの圃場が整備されております。
 今年度は宇座地区、萩川地区、波平地区の継続と池ン当地区の新規採択と中前原農道の新規採択に向け努力してまいります。
イ、宇座地区土地改良総合整備事業
  本地区は平成元年度に事業採択され四年目を迎えております。当初計画の受益地区三一・五 ヘクタールの全ての圃場整備を完了させており、今年度は本換地に向けて確定測量の実施と記 念碑の建立を実施してまいります。
ロ、萩川地区土地改良総合整備事業
  本地区は事業導入から八年目を迎えております。これまで、一二〇・五ヘクタールの圃場が整 備されました。引き続いて今年度は、長浜川ダム工事との関連で残しておりました二・五ヘクタ  ールの圃場整備と三六〇メートルの幹線農道、四〇八メートルの排水路の整備を実施してまい ります。
ハ、波平地区県営畑地帯総合土地改良事業
  本地区は事業実施主体を沖縄県とする県営事業として昭和六十年度に事業導入され、平成  三年度までに三五・五ヘクタールの圃場が整備されております。本年度は、幹線農道一、一八  ○メートルの舗装と五・四ヘクタールの圃場整備が行われることになります。
二、池ン当地区土地改良総合整備事業
  本地区は不整形な農地が多く、しかも公図(地籍)と現状が一致せず、また排水路もないため不 便をきたしております。そこで昭和六十三年度から土地改良事業推進委員会を組織し、事業化  を進めてまいりました。本年度は、新規採択の事業導入地区として上地改良地区設立認可申請 、事業認可申請等の諸手続きを進め、さらに全体実施設計を進め、次年度以降の圃場整備の  実現に努めてまいります。
ホ、中前原地区団体営農道整備事業
  本地区は渡慶次中前原一帯のビニールハウス団地と南風原地内の読谷観葉団地を囲む区域 で、連結する農道が未整備であるため農産物輸送時の荷傷みと粉塵による小菊の商品価値低 下や生育不良等が見られ農道整備の必要性があります。
  そこで、渡慶次区、儀問区の役員を中心に事業実施に向けた取り組みがなされ事業採択の条 件が整いましたので、今年度は総延長八一四メートルの実施設計と用地分筆測量を進めてまい ります。
へ、県営かんがい排水事業
  昭和五十四年度から調査計画が進められ昭和五十七年度から事業実施されております長浜 川ダムの建設は、昨年十一月に待望の定礎式を終え、現在堤体工事が急ピッチで進められて  おります。この工事が順調に進捗すれば、平成七年度には農業用水の一部供用が可能で光明 が見えはじめております。今年度も引続いて堤体工事を中心に実施されてまいります。他方、末 端のかんがい排水事業については、長浜川土地改良区の設立等事業実施の体制づくりを進め 、早期の事業導入に努めてまいります。

②農業構造改善及び地区農政の推進

 昨今における国内外の農政の情勢は、貿易不均衡問題に端を発し、競争の論理を追い求め、価格政策にもかげりが見えはじめ、一段と厳しい局面に立たされております。このような状況下で農業構造の改善対策は農業生産の体質を強化する観点から重要な課題であります。本村の農業につきましては復帰後精力的に推進してまいりました土地改良事業や構造改善事業によるビニールハウスの設置等により、地域特性を活かした収益性の高い農業生産の条件整備をはかってまいりました。その結果、施設野菜や小菊の生産拡大等一定の成果をあげております。
 また、紅イモにつきましては優良種苗であるメリクロン苗の普及で生産農家に大きく喜ばれ、読谷農協の「琉球イモ生産部会」が活発化し生産規模が拡大しております。
 このような状況を踏まえ、今年度はさとうきび生産向上対策として進めております野そ駆除、有機質肥料の助成、原苗圃の設置等の事業を継続し、また、紅イモの優良種苗の配布、小菊を中心とする共同灌水施設補助を継続実施して土地利用型農業の体質強化をはかってまいります。 さらに、地域農業を取り巻く環境は高齢化、兼業化、混住化が進行し、中核的担い手農家への農用地利用集積が低いのが実情であります。そこで生産性の高い農業経営を確立する為には農業振興を担う体制づくりと優良農用地の確保、農用地め有効利用、農業担い手の育成をはかることが必要であります。今年度も引き続いて農地流動化の促進及び農用地の有効利用に努めてまいります。
 他方、農村環境の整備と農村活性化をめざして昭和六十三年度から進めております農村基盤総合整備事業は、平成三年度までに集落内道路二、九二五メートルと農業用排水路五二〇メートル、農道四二〇メートルが整備され順調に進捗しております。
 

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