「あなたは何年生まれですか。
子、丑、寅、酉?」
「西年です」
「それでは今年トゥシビー(生まれ年)ですね」
子、丑、寅、卯、辰、己、午、未
申、西、戊、亥のトニ支は、わたしたちの生活のなかに息づいている大事な風習です。その十ニ支はどのようにして始まったのでしょう。
むかし、むかしのこと、十二ヵ月になぞらえて、十二支を決めなければいけないということになりました。
それで、王様は、動物全員に、「何月何日の何時までに私たちの宮殿に集まりなさい。先着十二番まで順番をつける。これは後世に残ることだから、動物たち、がんばりなさい」
と、おふれを出しました。その使いの役はねずみでした。ねずみはチョロチョロ動きが機敏なので、いつも小間使いに当たっていました。
連絡を受けた動物たちは、一番をめざしてそれぞれ準備に取りかかりました。
そこで、やがて出発という日、ねずみは牛小屋の天井にいました。
牛は、
「わたしは歩くのが遅い力ら早く準備してみんなより先に出て行こう」
と、背中に食料などを積んでいました。
ねずみは悪がしこかったので、
「あっこれはいいことを考えた。牛に乗っかって行こう」
と、牛の角に潜りこみました。
そうして、牛の角をかじりながら、自分の歯もみがきながら、牛の角に隠れて行きました。
緑の草原に宮殿をめざす動物の列が続きました。
牛は心がけが良いので、宮殿の人口、受付のところで、
「はい!私が一番」
と、かけ声をあげました。
すると、ねずみが、ポンと牛の頭、からおりて、牛より先にゴールインし、
「はい!私が一番です」
と、言いました。
牛はあっけにとられて
「モー」
と、怒りました。
そのあと、虎、兎、龍、蛇などが次々にやってきて、猪で
「はい!十二番、ここまで」
と打ち切られました。
そのとき、猫がハァーハァー息を切らして走ってきました。十三番目に着いた猫は入りそびれて、顔をまっ赤にしてねずみにくいかかりました。
「どうして、わたしを動物仲間からはずすのか」と、言うと、
「わたしたち動物は、家の中では飼われてなく、全部穴の中で生活しているのだが、おまえだけは、人間様のござの上、床の上、膝の上に座ってぜいたくな暮らしをしているからだよ」
と、ねずみが言ったので猫はますます怒りました。
「このやろう、許してやるものか」
と、ねずみを見つけると取って食べるようになりました。
それで、猫とねずみは今でも大変仲が悪いということです。