ある森の中にクラーと力ーラカンジューの姉弟小鳥が住んでいました。この小鳥たちのお父さんはふたりが小さいときに病気で亡くなり、お母さんひとりで育てていました。
お母さんは、ふたりの子どものために朝早くから夜おそくまでいっしょうけんめい働いていました。
弟のクラーはそんなお母さんを見て、気の毒に思い。
「姉さん、私たちも大きくなったし、働きに出て、すこしでもお母さんを楽にしてあげよう」
と言いました。
姉さんの力ーラカンジューも、
「そうだね。いっしょに働きに行こうか」
と、隣の森へ働きに行くことになりました。
二、三カ月が過ぎて、ふたりはお母さんのところへ支送りもできるようになりました。お母さんの生活もすこしずつ楽になりましたが、無理がたたったのでしょうか。体をこわして寝こんでしまいまし
た。
クラーと力ーラカンジューも働きに行っているので、森の小鳥たちが交代でお母さんの世話をしていました。でも病気は日に日に重くなるばかりです。
お母さんのことを心配した森のかしらは、
「お母さんが危ないから早くクラーと力ーラカンジューをよんできなさい」
と使いを出しました。
すぐにふたりのもとへ、お母さんが重い病気だという知らせが届きました。弟のクラーは心配して 「姉さん、お母さんが病気らしい。早く帰ろう」
と言うと、
「故郷に帰るとなれば、こんな格好ではいけない。私はきれいな着物を着て、お化粧をしてから行くのでおまえは先に行きなさい」
と、言いました。
クラーは病気のお母さんに一刻も早く会いたいためにボロの服を着たまま走って行きました。
クラーがお母さんのところにかけ着く頃には、もう虫の息でしたが、クラーの手を取ると、
「クラー、よく来てくれたね。お母さんのために働きに出て、こうして戻ってきて、ありがとう。お
まえはほんとうに親孝行な子だ。いつも米倉の下で暮らすといい」
と言って、亡くなってしまいました。
一方、姉さんの力ーラカンジューは葬式も終わってから、きれいな着物を着てやってきました。
すると、森のかしらは怒って、
「おまえはなんて子だ。着かざるために親の死に目にも会えないなんて親不孝な子だ。毎日、川辺でおしりを濡らして暮らしなさい」
と言いました。
それで、クラーは、姿は美しくないが、親孝行といわれ、いつも米倉の下で米をつついて暮らし、また、力ーラカンジューは、姿こそ美しいが、親不孝なので、寒い冬の日でも川の中で食べ物をさがして暮らしているということです。
クラー(雀)
カーラカンジュー(かわせみ)