読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1993年4月発行 広報よみたん / 8頁

【見出し】読谷の民話(再話) 雀酒屋 【写真:受水走水】

 むかし、むかしのことです。受水走水というところに一本の大きな木がありました。ひとつの折れかかった木の枝のくぼみに雀の巣がありました。
 雀は、毎日そこへやってきて、えさをついばんでは羽をひと休みさせていました。
 雀は正直者だったので、
「おまえは米を食べて生きなさい」と言われていました。そうして、この雀はいつも人の作った米を食べて育ち、余った米は自分の巣に運んでいました。
 ある日、雀はそこの水を飲むと、パタパタともがき、フラフラ、ヨレヨレ木から落ちてしまいました。 これを見たある人が、
「ふしぎなことだ。雀が水を飲んでいる様子だったが、どうしたのだろう。死んでいるのかな」
と、羽をさすって水をすこし飲ますと元気になって飛んで行きました。
 「これは何かあるな」
と、木に登ってみました。
 すると、木のくぼみに米粒があり、水が溜っていました。指を入れてなめると、変な味がしたので二回、三回と飲んでいるうちに、たいへんいい気持ちになりました。
「あゝひょっとすると、これを飲んで、雀は酔ってパタパタしたんだな」
と、思いました。
 雀が毎日ついばんでいた米の食べ残しに雨が降って水が溜り、発酵してもろみになっていたのです。
人間はこれをヒントにして酒を作りました。
 また、その側に御穂田という田んぼがありました。鳥が米をくわえてきて、この田んぼに落とし、それから稲が生え始めたということです。田んぼの稲を刈りて、神様に供えたことからウマチーは始まりました。
 今でも沖縄では、旧暦二月、三月、五月、六月にウマチーをやっています。

注 受水走水
  アガリウマーイの拝所の一つで、玉城村百名の水田地帯にあり、御穂田と称する神田に注ぐ   水源地。岩間から泉が湧き出ている。
  ウマチー
  沖縄諸島で稲妻にかかわる四つの祭り。二月、三月、五月、六月におこなわれる。王府より日  を選んで村々におこなわせたが、明治以後は旧暦十五日に定日化した。

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