読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1993年4月発行 広報よみたん / 2頁

【見出し】特集 村政運営の基本姿勢と所信表明 平和の沖縄、平和な国際社会にー二十一世紀を展望した「人間性豊かな環境・文化村」ー 【写真:第237回読谷村議会定例会で所信表明を行う】一、はじめに 二、村政に対する基本姿勢 三、本年度の重点事項 四、本年度の実施項目(1)学校教育、生涯教育の充実並びに地域文化創造に関する施策 【写真:生涯学習で「人づくり」(中央公まつり):古堅中プール改築に着手(起工式)】①教育諸条件の整備②生涯学習の推進 【写真:北海道池田町との児童交流も11回を迎える】③社会体育の振興 【写真:各種スポーツを振興(陸上大会)】④文化財の保護並びに文化創造運動の展開 【写真:初の「沖縄口」講座を開く】 (2)産業経済の振興に関する施策①農業生産基盤の整備 【写真:儀間区の多目的集会施設を建設】②農業構造改善及び地域農政の推進 【写真:農協の紅いも加工センターが落成】③畜産業の振興 【写真:畜産経営の改善と安定化に向けて】④水産業の振興 【写真:つくり育てる漁業へ(浮沈池)】⑤商工観光の振興 【写真:むらおこし会社「ユンタンザ」を設立:残波公園にテッポウユリを植栽】⑥伝統工芸の振興 【写真:暮しの中に息吹くヤチムン(陶器市):伝統の「花織」は教材でも紹介される】 (3)社会福祉増進のための施策 【写真:「ふれあいプラザ」の建設に着工:地域福祉計画の策定に取り組む:「ふれあい介助事業」も着実に成果をあげる:生きている喜びを共有(老人運動会):健康づくりの意識高揚をめざして】 

  一、はじめに

 本日ここに、第二三ニ回読谷村議会定例会の開会にあたり、一九九三年(平成五年)度の予算案をはじめ諸議案の説明に先立ち、村政運営の基本姿勢と所信の表明を行います。本年度も議会議員をはじめ村民各位の深いご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 昨年は復帰二十周年の節目にふさわしく読谷村民が大いに活躍した年でありました。NHK大河ドラマ「琉球の風」の撮影・読谷紅イモを中心とした新商品の開発展開・青年や児童生徒たちの活躍等、村づくり運動が各分野において一層充実発展し、村民が希望に燃え、自信と誇りを深くした年でありました。ここに議員の皆様方をはじめ村民各位、各団体の皆様方のご活躍とご支援に心から敬意を表する次第であります。
 さて、国際社会においては、米ソの冷戦構造崩壊後の民族紛争、宗教的対立等、深刻な問題もありますが世界史の本流は、新しい世界平和の秩序を求める、生まれ出ずる陣痛の苦悩でありましょう。地球規模での環境問題、核管理問題、国際協調の問題等も大きな課題として山積しております。
 国内においては、異常なバブル経済の崩壊による深刻な経済危機の問題、佐川急便と政治家との癒着、政治家への国民的不信感、高まる政治改革への要求、自衛隊の海外派遣と憲法論議等、日本国内も様々な問題に直面し、その変革再生が求められている時代であります。
 戦後も間もなく半世紀になろうとしております。振り返って総括しますと、超大国といわれた東の横綱ソ連は既になく、西の横綱米国は、国内経済をはじめ内政問題でかつてない苦しい状況にあります。これらは両国が軍備競争に明け暮れ、同盟国に多くの基地を置き、軍隊を送り込み膨大な国家予算をつぎ込んだ結果であります。これは正に力(武力)の競争が崩壊し、剣(軍備)を持つものは剣(軍備)にて滅ぶという歴史の教訓を我々は目の当たりにしたのであります。
 一方、戦後日本の最大の罪(過ち)は、政府の教育行政の中で教科書を通して、戦争中の日本軍のアジアの国々とその国民にもたらした加害(犠牲)の実態を教えず、国民の目を覆い隠してきたことであります。即ち、若い人々に歴史の真の姿を教えなかったことであります。二一世紀は国際交流が更に促進される時代を迎えるのでありますが、二一世紀にアジアにあって日本が、日本の若い人々が孤立しない為にも歴史の真実の姿を教え、そして償うべきはきちんと償い、その上で真の国際交流、信頼と友好関係の絆は築かれるべきものであります。

  二、村政に対する基本姿勢

 かねてから申し上げてまいりました通り、読谷村政の基本姿勢は、日本国憲法の四本柱であります「平和主義」「主権在民主義」「基本的人権の尊重」「地方自治の本旨」を基本に据え、それを踏まえて制定された「教育基本法」を尊重し、その目的に向かって実践することであります。
 平和な沖縄、平和な国際社会を建設し、二一世紀を人類共存、共生の時代とするためにも我々は、あらためて沖縄戦の教訓を生かして行かなければなりません。戦後半世紀を省みますと、日本国憲法の果たしている役割と日本の発展の大きなバックボーンになっているのが日本国憲法であるということを改めて認識する必要があります。同時に、今日の世界の趨勢、歴史の流れは、二一世紀は日本国憲法が指し示しているような時代となり世界となる、そういう動きであります。
 そこで、今年も「非核宣言」の村民意思を体し、改憲論や解釈改憲、自衛官募集業務、自衛隊の海外派遣等を容認せず、内外に声高らかに「平和宣言」をするものであります。

一、われわれは、自衛隊の海外派遣等に反対し、憲法を軸にした日本の主体的外交の展開を求めます。
一、われわれは、反戦・反核を貫き、核汚染のない地球環境と平和を守り、人類存続と文化創造   のため奮闘する。
一、われわれは、我々と我々の子孫の幸せと繁栄をめざし、平和な社会を築くため奮闘する。
一、われわれは、読谷村民の住みよい生活環境の確保をめざし、基地公害を拒否するため奮闘   する。
一、われわれは、読谷飛行場内の米軍落下傘演習場の早期撤去を求め、転用計画実現のため   村民の知恵と力を結集して奮闘する。
以上のことを強く村民に訴えるものであります。

 更に、村づくりの目標である「人間性豊かな環境・文化村」づくりを推進するための実践項目として、
一、平和と民主主義、人間尊重の村政をめざす。
一、民主的な学校教育及び生涯学習の充実をはかり、地域の歴史・文化の継承発展をめざす。
一、地域の産業・経済の発展向上をはかり、活力ある地域づくりをめざす。
一、高齢化社会を迎え、地域福祉計画を策定し、村民福祉の増進をめざす。
一、自然環境と人間との調和ある村づくりをめざす。
一、明るく住みよい健康な村づくりをめざす。
一、自治と分権、地域主義の視点に立った村づくりをめざす。
以上の七項目を基調として村政を進めてまいります。

  三、本年度の重点事項

 一九九三年(平成五年)度の重点事項は次のとおりであります。
一、教育及び文化の向上
一、産業経済の振興
一、保健・医療及ぴ社会福祉の充実
一、生活環境の整備
一、平和行政の推進
一、読谷飛行場転用計画の推進
一、役場庁舎建設計画の推進
一、公共下水道整備事業の推進
一、緑化事業の推進

※続く。

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