四、本年度の実施項目
次に一九九三年(平成五年)度の主な施策の概要を申し上げます。
(1)学校教 興生涯学習の充実並びに地域文化創造に関する施策
二一世紀を展望して、平和で豊 て、創造性に富み文化スポーツのかな活力ある文化村の形成者とし 振興に寄与する心身共に健全な人材の育成が極めて肝要であります。すばらしい文化の創造や平和社会の建設もすべては人間のなせる業であり、「人づくり」こそが村づくりの基本であります。そして、その主役は村民であります。
「教育は百年の大計」であるといわれておりますように、村民が生涯学習の観点にたって、個性の尊重を基本として学び、習い、実践できる環境を整備し、学校教育、社会教育の充実をはからねばなりません。
教育基本法の前文には、教育の基本理念は「民主的で文化的な国家を建設して、世界平和と人類の福祉に貢献し」「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざすものである」と教育の原理が示されております。
さらに、教育の目的は「人格の完成をめざし、平和な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」と謳われております。
教育行政は、この教育基本法の理念に基づき、教育環境の整備、学習指導の充実をはかり、青少年の健全育成、社会教育の充実、スポーツの振興と体力の増進、豊富な地域文化の振興及び文化財の保管活用に努めなければなりません。さらに、年齢各期に応じた生涯学習を通して豊かな人間性の形成をはかるため行政、学校、家庭、地域が一体となって頑張ってまいります。
①教育諸条件の整備
学校教育におきましては、個性の尊重を基本として児童生徒が伸び伸びと学習できる教育環境の整備が重要となります。同時に家庭、学校、地域社会が相互連携のもとに、時代の変化に対応し得る教育方法を追求し、二一世紀を担う子供たちを素直に伸ばしてあげる、そうした努力が必要であります。
今年度は古堅中学校校舎新増築工事や読谷中学校運動場の客土補修工事等の事業を推進し、教育環境の整備をはかってまいります。また、楽器や情報教育機器の充実をはかり、併せて郷土の自然、歴史、文化を活かした教育を一層推進してまいります。
②生涯学習の推進
豊かな人間性を備えた「人づくり」に資するため、本年度も年齢各期に応じた生涯学習プログラム、各講座等を積極的に推進してまいります。
中央公民館と地域の公民館の連携を密にし、高齢者学級や地域課題に対応した各種講座の開設、また農協、商工会、漁協等の協力を得た青少年の体験学習講座の開設、さらにこれまで継続的に実施してまいりました造園、絵画、男性専科、女性セミナー等の充実をはかり、併せて各種サークル活動への助成等も継続してまいります。
特に今年度はやちむんの里構想の第二段階として、村民が深く関わり、陶芸に親しむ陶芸研修施設を建設し、やちむんを通して郷土学習、地域福祉、伝統工芸等の発展とその後継者の育成など、生涯学習の場として活用し、文化村づくりの更なる発展をめざします。
また、社会教育関係団体の活動が円滑に行えるよう継続して助成するとともに、今年度で一二回目を迎える北海道池田町との児童生徒交流事業も引き続き実施してまいります。
③社会体育の振興
自らの健康、体力は自らがその意義を十分認識し、村民一人一人が自分の年齢や体力に応じた健康づくりを実践し、毎日の生活の中で、また地域や職場でも常日頃から取り組む必要があります。そのための適切な指導助言と活動の場の提供、指導者の斡旋等の援助を行うとともに、各種スポーツ振興事業やスポーツ大会を開催してまいります。
また、プールや体育館等の学校体育施設を開放しての各種教室等の実施や運動広場、平和の森球場等の社会体育施設の利用を積極的に推進してまいります。さらに、体育協会などのスポーツ団体との連携も密にし、各種のスポーツ振興をはかってまいります。
④文化財の保護並びに文化創造運動の展開
昨年度は初めて「沖縄ロシンポジウム」を開催し、多くの参加者を得て好評を博しました。ウチナーグチは先祖代々受け継いできた私たちの大切な文化遺産であります。日常生活の中で沖縄独自の文化としてのウチナーグチを定着させるため「沖縄口講座」を開設するとともに文化運動の一環としてのウチナーグチの日常化運動を推進してまいります。
歴史民俗資料館は郷土学習、研究の場、観光拠点として親しまれておりますが、今後も充実発展を期してまいります。開館四年目を迎える美術館は、これまで内外の皆さん方のご協力を得て、絵画、彫刻、陶芸、織物等の展示会や児童生徒の作品展並びに特別企画展などが催され好評を博しております。今後とも文化芸術活動の充実発展に努めてまいります。併せて、一三回目を迎えるアンデパンダン展も引き続き開催してまいります。
また、私たちの祖先が平和な村への祈りを込め、芸能に情熱を燃やし、たくましく生き抜いたムラアシビの形態を再現する第二回「ユンタンザムラアシビ」、並びに第三回「棒の祭典」を開催致します。さらに、今年度は読谷村の各分野の文化団体が一堂に集い、芸術文化活動を展開できるように「読谷村文化協会」(仮称)の設立をめざし取り組みを開始致します。
(2)産業経済の振興に関する施策
①農業生産基盤の整備
農業は地域社会の発展と潤いのある豊かな生活を支え、食料を供給するという最も大切な使命を担う産業であります。
近年、農業を取り巻く情勢はガットに見られるように国境を取り払う方向にあり輸入自由化問題、農業保護のあり方など内外で一段と厳しい状況下にあり、今後、需要の動向に適応した生産性の高い農業をめざすことが大切であります。そのため、基礎的条件となります生産基盤の整備は不可欠の要件であります。
本村においては農業生産基盤整備を昭和五一年の座喜味地区を皮切りに、渡具知地区、西部連道地区、渡慶次地区、浜屋地区、荻川地区、宇座地区、波平地区と精力的に事業を推進し、現在二四八、九二ヘクタールの圃場整備を完了させてまいりました。一方、かん水対策として進めておりました長浜ダムの大事業も堤体工事の完成を見、今年度から貯水テストがスタートするところまで進んでおります。
また、農村環境整備として進めておりました儀間区の多目的集会施設が完成し、地域コミュニティーの更なる発展を期待するものであります。
今年度は、県営畑地帯総合整備事業の波平地区の継続実施、土地改良総合整備事業では萩川地区が確定測量の最終年度、池之当地区を工事の初年度として計画しております。また、昭和五四年度からスタートしております県営かんがい排水事業(長浜ダム)は、揚水機場の建設と送水管敷設工事に入って行くことになります。更に長浜ダムの受益地区となります末端におけるかんがい排水事業を団体営荻川地区、県営西部連道地区として実施して行くよう努力してまいります。中前原農道については継続実施してまいります。
他方、農村環境整備と農村活性化をめざして進めてまいりました渡慶次地区の農村基盤総合整備事業は、当初計画では平成七年度を完成予定としておりましたが、景気対策等で事業期間が短縮され、今年度で最終年度をめざしております。また、瀬名波、長浜、宇座を一地区とした同事業の導入を推進すべく調査を実施してまいります。
②農業構造改善及び地域農政の推進
わが国の農政の方向は価格政策にかげりが見え、市場適応型の土地利用型農業を模索し、農業構造政策を重視する農業生産の体質強化が求められております。
このような状況に鑑み、自然的有利性を生かした亜熱帯農業を振興することが重要となります。そのことは、わが国唯一の亜熱帯地域という地域特性を活かした農業を展開することであります。その為には地域の特色に合った農業の組織化を通して農地利用の適正化、生産技術の向上、中核的担い手農家への農地の集積を積極的に推進し足腰の強い農業の体制づくりに努めてまいります。
本村の農業はキビ作中心の農業からスイカ、メロン、小菊、紅イモ等の産地として銘柄づくりが進展しております。特に紅イモにつきましては、読谷村といえば紅イモが代名詞として使われる程の重要な産物となってまいりました。このことは、農協や生産者を中心とする生産体制づくりと商工会を中心とする商品化と流通体制づくりが連携して、村の特産品づくりに日々邁進している結果であり、大きな期待を寄せております。このような状況を踏まえ、今年度はさとうきびの生産性向上対策、紅イモ振興対策、花卉野菜振興対策等の継続実施をはかり、地域特性を活かした土地利用型農業の体質強化をめざして努力してまいります。
※続く。