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③畜産業の振興
農産物自由化の波は日本農業へ大きな影響を与えております。平成三年四月から実施された牛肉の輸入自由化は特に深刻な問題となり、産地間競争は激化の一途をたどり、今後とも厳しい状況が予想されます。
このような内外の諸情勢の中で畜産農家をはじめ関係者は心を一つにして畜産経営の改善と向上に努力して行かなければなりません。そこで、本年度は県内外から優良種畜の導入への助成を新規事業として実施し、産地化、銘柄づくりに農家共々頑張ってまいります。
また、防疫対策はもちろんのこと飼養管理技術の向上及び生産コストの低減化をはかる指導を推し進めるとともに、種豚購入補助、予防注射手数料、獣医師、人口授精師設置補助等を継続実施し、併せて養豚組合、畜牛組合の生産組織の育成強化をはかってまいります。
④水産業の振興
年々増大する輸入水産物で漁業経営は厳しい局面に立たされるなか、本村漁業は資源管理型漁業、つくり育てる漁業へと転換しつつあります。村といたしましては、これまで漁業生産の拠点づくりとして都屋漁港の整備を促進する一方、漁業構造の改善をはかるべく、荷捌施設、給油施設、製氷施設、巻き揚げ施設、鮮魚加工処理施設等、漁業近代化施設の整備を推進してまいりました。昨年度は待望の漁具倉庫の整備が実現し、さらに漁業協同組合の活動拠点となります事務所兼研修施設が建設され、更なる活性化がはかられつつあります。また、生産出荷の安定化をめざし増養殖事業や漁船及び漁具購入への助成、漁業活性化計画の策定への助成、婦人部の育成等漁業経営の健全化に努めてまいりました。
今年度は、漁業振興補助、漁船購入補助、オニヒトデ駆除、漁具器具購入補助を継続し、また水産業活性化構造改善特別対策事業の導入を推進する一方、漁業活動の拠点となります長浜船揚場の建設をめざし、調査設計を進めてまいります。併せて婦人部を中心とする活動を活発化させ鮮魚の一次加工等、付加価値を高めた特産品づくりを推進してまいります。
⑤商工観光の振興
本村の商工業は不況下の厳しい経営環境にありながら、商工会を中心にいま、最も活気に満ちた活動を展開しております。紅イモは、これまで取り組んでまいりました地域づくり、地域活性化事業、紅イモシンポジウムを通して、読谷村のブランドとして確立され、評価されております。また、商工会の「むらおこし塾」を通した人づくりや、(株)ユンタンザを中心に紅イモの付加価値を高めた功績が広く認められ、琉球新報社より第一五回「産業活動賞」を受賞したことは、本村の誇りであり賞賛するものであります。
また、県内の市町村としては初めての香川県での物産展を成功させ、新たな市場の開拓と販路の確立がはかられたことは、村の農産物の生産拡大にも寄与するものであり、今後とも地域活性化のリーダーとしての商工会の活動を期待すると共に、本年度も助成、支援を継続してまいります。
村内の中小零細企業者の育成に関しましては、国、県の融資制度を活用し経営基盤の強化及び経営力の向上に努めます。
新たな事業といたしましては、NHK大河ドラマ「琉球の風」の撮影と全国放映に伴い、読谷村を訪れる人々も増加してまいりました。これらは、読谷村の新たな動きであります。そこで、二一世紀の本村の観光及び商工業はどうあるべきかを検討する「街づくり委員会」へ助成し、商工観光の発展に努めてまいります。
読谷村には優れた伝統文化、伝統工芸、歴史があり、これらの資源を有効に活用することによって、観光産業が地域の経済発展に資することが出来るものと考えております。今年度も残波岬公園にテッポウユリを植え観光地として整備してまいります。また、いこいの広場内のパーゴラ施設を整備すると共に「残波まつり」を開催してまいります。
⑥伝統工芸の振興
五〇〇年余の歴史をもつ読谷山花織は全国的にも知られ、小学校五年生の教材の中でも紹介されております。昭和五一年に通産大臣より伝統工芸品として指定を受け、今日まで読谷山花織の継承、発展のため実に多くの方々がたずさわってこられました。今後とも伝統技法を守り、生産拡大をはかるため、原材料の確保、後継者の育成・中堅技術者の確保、製品開発の研究を推し進めるため助成、支援をしてまいります。
やちむんの振興に関しましては、昭和五四年やちむんの里が建設され、そこを中心に村内に約三〇の窯元が製作活動を行っており、全国的にもやちむんの村として認識されるまでに至っております。
村といたしましては、やちむんの生産拡大、産業としての自立化を促進するため、村民の生活の場へのやちむんの普及をはかってまいります。また、社会教育、生涯学習のための陶芸研修施設をやちむんの里の一画に建設してまいります。
⑧社会福祉増進のための施策
高齢化社会を迎え、それへの対応として、新たな地域福祉計画を進めているところであります。
今年度は福祉元年と言われるように、社会福祉八法改正による福祉施策の主体が町村に移され、身体障害者及びお年寄りの措置事務が開始されるのであります。そのための財源の確保はもとより、人的な対応など正に各自治体ごとの創意工夫によって福祉行政が大きく変わっていく時代に入ったと言えます。この時にあたり、福祉行政を支えるのは村民一人びとりが当事者であるという意識づくりが重要であり、人と人との支えあう関係を地域、家庭、行政の中で進めていく必要があります。
福祉のネットワークづくりは、今日まで社会福祉協議会を中心に各種の福祉団体や多くの村民並びに福祉ボランティアのご支援のもとに、社会的弱者と健常者の共生が実践されてまいりました。特に広範囲にわたる福祉ボランティアの支援活動はこれからの福祉行政を考える意味で重要な分野であり、その強化に力を入れていかなければなりません。
昨年度は老人医療費助成制度(おむつ)の発足とふれあいプラザ(仮称)建設及び福祉振興基金の果実活用による高齢者ふれあい介助事業の充実などを進めてまいりましたが、今年度は在宅福祉の三本柱であるデイサービス、ホームヘルパー、ショートステイ事業をはじめ地域福祉計画の策定と実行、ふれあいプラザ建設事業に伴うデイサービス事業の新展開を行うと共に、身体障害者及びお年寄りの措置事務移譲に関する新規の事務について、各機関との連携を深め、その充実と強化に向け次の施策を共に進めてまいります。
本村の六五歳以上人口は三、〇九六人となり、総人口の九、五%を占め、年々その率も上がってまいりました。国際化や高齢化、価値観の多様化の中で、お年寄りを取りまく環境も大きく変化し、本村においても一人暮しのお年寄りや日中における一人暮しのお年寄りなどが生じ、これらに対応する施策が求められています。そのため、ホームヘルパー派遣事業の強化と今年度から社協に委託し開始するデイサービスセンター事業において、お年寄りの健康と交流を主体に、生きがいづくりに力を入れ、村と社協そして村民の三位一体の福祉の拠点づくりを進めます。更には最も基礎的で重要な事業の一つであります公民館での「ふれあい介助事業」は喜名、渡慶次において大きな成果を上げつつあり、各地域の協力のもと今年もニケ所をめどに拡大をはかってまいります。
また、お年寄り一人びとりが地域とのかかわりを深く持ち続け、それぞれが生きている喜びを共有できることこそ大切であります。今日、独自の活動を展開されている読老連の運動会や老人作品展、芸能の集いなどの活動は内外から高い評価を受け、私たち後輩の大きな励みであります。健康で生きがいのある老後をより豊かに過ごしていただくため、各単位クラブの育成、各種サークル活動の育成強化をはかりつつ、併せて福祉振興基金の果実活用を行い、ボランティアとしてのお年寄りの社会参加を推進してまいります。
なお、地域が必要とする老人関係施設については、民間活力を活かし、その実現に向け努力してまいります。
※続く。