読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1993年7月発行 広報よみたん / 2頁

【見出し】第2回 境自治体会議全国集会 読谷 「地球・南北・環境」をテーマに討議

 ”地球・南北・環境”をテーマに「第二回環境自治体会議」が五月二十七日から二十九日までの三日間、本村の総合福祉センターで開催され、地球環境に係わる諸問題・課題に論議が深められました。
 環境自治体会議は、全国の九町村長が呼び掛け人となって、各自治体の責任者や政策担当者、市民(村民)、自治体職員、議員らが一堂に会し、あらゆる”環境”を論議し、環境問題に関する自治体行政の政策立案への主体的な取り組みを考えようというもの。
 第二回環境自治体会議は、読谷村実行委員会(山内徳信委員長)の主催で「やさしさとゆとりを結ぶ都市農村ネットワーキング協会(URネット)」(丸谷金保代表)とアースディ・日本(須田春海代表)が共催。初回の会議は北海道池田町で開催されています。
 第二回の開催地となった読谷村集会には、全国から約二百人の自治体関係者の代表などが参加する中、初日は、吉田朝啓コザ保健所所長が「市町村行政と環境問題」と題して基調講演。二日目は第一分科会「南北問題と環境保護」、第二分科会「ローカルアジャンダ21(地域の環境行動計画)」、第三分科会「環境と平和」の三分科会に分かれて意見を交換。三日目には「全体集会(分科会報告)」が行なわれ、”読谷村宣言”を全会一致で採択し、環境自治体会議・読谷村集会は、成功裡に幕を閉じました。
【開会式】会議に先立って行なわれた開会集会では、URネット代表の丸谷氏が「私達は今、地球危機の中にあることをお互いが相互理解し、今や環境問題は、地球規模でなく、自治体や地域の別の角度から取り組まねばならない。自治体がトータルで労しながら、積極的に環境問題に取り組んでいる組長を中心にして環境問題に取り組み、実りある大会にして頂きたい」と開会宣言。また、開催地を代表して歓迎のあいさつにたった安田慶造助役は「地球環境に思いをはせた時、各自治体の責任は重大である。自治体こそ身近な地域環域に日常的に接しており、住民と共に環境問題に取り組む立場にある」と述べ、「戦争と軍事演習こそ環境破壊の最大の要因」と強調して沖縄開催の意義を説き、参加者の拍手を浴びました。
【基調講演】講演では、吉田講師がスライドを交えながら、自治体における環境問題に触れて講演。「医学の立場からみると、人間は小さな宇宙。皮膚の外は全てが環境として尺度をたてる」と環境に関する考えを定義した上で「環境要素には①物理的、②化学的、③生物学的、④社会的・心理的の四つの要素があり、その複合体が環境に影響を与える」と説明した後、沖縄県における具体的な基地被害の事例、実態を唱え「基地の重圧は依然(復帰してなお)として大きい。基地が存在する故に地域共同体が分断され、住民のコミュニティーの安定がない」と強調し、基地の重圧に絶えて前進する中部市町村の現状を紹介。更に「自治体は、国にはできないような社会的な弱者に手を差しのべるような環境施策を」と提唱し、講演を締め括った。
【全体集会(分科会報告)】
 集会の二日目からは、村福祉センターと勤労者体育センターの二会場に参加者約二百人が三つの分科会に分かれ、それぞれのテーマに関する具体的な事例を紹介しながら、各地域からの活発な意見や提言、問題提起が相次いだ。
「南北問題と環境」
 キーワードに”町おこしと開発に伴う自然保護”を提起。行政と住民側、自然保護に関する企業と行政側の在り方、リゾート開発に伴う自然破壊など、どちらが主体かを見極めて住民の声を吸い上げる会話や対話集会を持ち、環境の教育問題に教宣の必要がある。
「ローカルアジャンダ21」
 地方での取り組みの手順・方法には対立の構図がある。政府と自治体、市町村と都道府県、企業と市民、自然とお金の対立など問題の構造や表情をつかめてないと認識している。認識が見えてこないと地球環境、足元の環境、自然保護ができない。それぞれの地方で、全国それぞれがローカルを固めて具体的に全国の市町村が環境サミットを開く必要がある。
「環境と平和」
 戦によって沖縄の環境がことごとく破壊された。平和を守り、平和を創造することが地球環境を守る。基地が生活環境を破壊している実態を訴えることが必要で、環境と平和を有機的に結びつけて今後の展開につなげることが重要。
【環境自治体読谷村宣言】
 三日間に亘って開かれた「第二回環境自治体会議・読谷村集会」は、これからの地球的課題としての”平和を守り、自然と共生し、人類の発展を目指そう”とのテーマを唱えた「読谷村宣言」を全会一致で採択し、閉幕した。
【読谷村集会に評価】
 沖縄の地から環境の問題を提起しようと、第一面環境自治体会議が本村で開かれた意義は大きく、本村での集会は『国内で唯一の地上戦体験、北と南の中間に位置する地理的条件、島しょ性のための動植物など環境問題を考える適地』ということで選ばれた。それ故に、今回の読谷村集会では特に「環境と平和」分科会を設定。実行委員長の山内徳信村長は「沖縄戦で尊い人命、貴重な文化遺産、亜熱帯の緑豊かな自然を失った。沖縄の人々の緑の創出と平和創造への思いは切実である。経験交流を通して今後の各自治体の環境行政に寄与して頂きたい」と訪米直訴を前に自治体会議への思いを寄せていた。
 また、本村での集会では、参加者らとの初日の歓迎会をはじめ、二日目の分科会終了後に、ヤチムンの里や美術館など村内各地を案内。そして、夕には座喜味城跡で賑やかに交流・親睦会を催して琉舞などの郷土芸能を披露。本村の手づくりの歓迎式は、本土各地から訪れた参加者らを感激させ、喜ばせた。なお、読谷村実行委員会では、環境自治体会議の読谷村開催記念として『沖縄の自然と環境写真展』を開催。軍事演習に伴う自然破壊などを撮った生々しい写真パネルの数々は、参加者らの関心を集めると共に、三日間にわたる読谷集会での成果を高く評価していた。

     【環境自治体会議読谷村宣言】(五項目の確認事項)
   私たちはその沖縄の地に集い次のことをお互いに確認しあった。
一、世界中の自治体は、互いに手を結び、国境や民族の違いを越えて、地域環境や地域環境の   保全とお互いの共存共栄の道をつくりだすために努力する。
一、自治体は、その地域の平和・共生・発展に、自らの能力で責任をもち、そのための政策の立   案と実行をすすめる。
一、南側の貧困克服は、南側自身の自発的発展を重視せねばならず、その活動に日本の自治体  も協力する  。
一、日本の自治体は、自治体同士の連携を重視し、東京偏重のシステムを改革するとともに、地   域の資源を活用し循環型社会を構築するように決意する。
一、世界の自治体の一構成員として、先のブラジル会議で決められた、二十一世紀へ向けた自治  体の行動計画であるローカル・アジェンダ21を早急に策定する。

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