福岡県で開催された「第二十八回西部工芸展」(五月十九日~二十四日・朝日新聞西部本社主催)で、比嘉恵美子さん(五八歳・楚辺二〇三九の一)の出展作品・読谷山花織着物が見事に”金賞”を射止め、関係者の祝福を受けました。
金賞は、県内で比嘉さんが初めての受賞で、表彰式は十九日に福岡市の展示会場で行なわれました。
西部工芸展は、大陸文化をいち早く採り入れた西日本地域において、手づくりの芸技を育て、広めることの意義を再認識して誕生。工芸展は、陶芸・染色・漆芸・金工・木竹工・人形・その他の工芸の七部門にわたり、厳重審査によって入賞・入選した各作家の優秀作品を披露する展で、毎年一回開催される。
今回の工芸展には、九州各県から七部門に総数千三十六点の作品(県内からは十五人が出品)が応募。その中から総合部門に与えられる金賞は唯一点。その一点の金賞に、比嘉恵美子さんの「読谷山花織着物」が輝いたのである。
栄えある金賞受賞の喜びを比嘉さんは「自分でもびっくりするような賞を頂き感激している。この受賞を励みに、これからも花織の伝統を守りながら新しい開発、織り方の創造などに技術を磨いて精進し、一人でも多くの後継者を育てていきたい。それが私の将来の夢です」と抱負を述べ、また「このような大きな金賞を受賞できたのは、講師の与那嶺サダ先生と、家族の理解と協力のお陰で心から感謝しています。そして何よりも嬉しいのは、多忙な時にはいつも主人が手伝って<れたことです」と語り、講師と家族を称えていました。
この度、金賞に輝いた比嘉さんが花織を始めたのは昭和四十五年(一九七〇)。以来、今日に至るまで、一日平均・約五時間は織機に向かって花織を織っているという。また、比嘉さんは花織の技能保持資格を持ち、糸の染色から織りまでの全工程を一人で担っている。
比嘉さんの日本工芸会沖縄支部への入会は一九九〇年。翌年の第二十六回西部工芸展で日本工芸西部支部長賞の受賞を皮切りに、第二十七回展では入選。そして今回、西部工芸展の最高賞「金賞」に輝いた。審査員にして【重厚な黒褐色の地色、華麗な花織の赤と黒の配分を引きたたせた美しい海の色を想わせるブルーで和らぎをつくり出した功みな創造性は確かな技術に裏付けされている。沖縄の色調を上手に使いこなして見ごたえのある作品にしている。多数の出品作の中で輝いている優作である】と評価している。
花織に夢を抱き、伝統を守りながらも、常に新しい創造に向かっての挑戦を心がけると共に、後継者の育成にも情熱を傾ける比嘉さんである。
比嘉恵美子さんの名誉ある金賞の受賞を村民で称えましょう。