四、本年度の実施項目
次ぎに一九九四年(平成六年)度の主な施策の概要を申し上げます。
(1)学校教育、生涯学習の充実及び文化振興に関する施策
万人共通の願望である平和で豊かな生きがいのある社会、活力ある住みよい文化村を築くには、それを担う人材の育成が肝要であります。
「村づくりは人づくりである」という理念に立ち、地域の歴史・文化を大事にしながら今日的課題を考慮しつつ、将来を展望した教育計画を基に、時代の要請に応える教育施策を推進する必要があります。同時に、憲法のめざす平和を愛する国民を育成するため、教育基本法に示された教育の基本理念を踏まえ、個性豊かな創造性に富んだ人材の育成に努めなければなりません。
さらに、今や生涯学習の時代を迎え、「いつでも・どこでも・だれでも」生涯にわたって学べるような環境整備が必要であります。
こうした社会の変化や教育の動向を見極めながら「人間性豊かな環境・文化村」づくりをめざし、地域のもつ教育力及び学校その他の教育機関とも相提携し、諸活動の活性化を促す必要があります。
学校教育においては、知・徳・体の調和の取れた教育活動を推進し基礎学力の向上を図るとともに、地域・家庭との連携を密にして児童生徒の健全な育成に努めてまいります。
社会教育ではスポーツの振興及び健康増進を図るとともに各種団体活動の活性化を促し、また公民館を中心にして各種の講座やサークル活動を強化しながら、生涯学習を推進してまいります。さらに、地域文化の振興を図るとともに文化財の保管活用にも努めてまいります。
また、楽器や情報教育機器の増設や各学校図書の増書を図り、併せて郷土の自然、歴史、文化を活かした教育実践を一層推進してまいります。
①教育諸条件の整備
学校教育におきましては、個性の尊重を基本として児童生徒が伸び伸びと学習できる教育環境の整備が重要となります。同時に家庭、学校、地域社会が相互連携のもとに、時代の変化に対応し得る教育方法を追求し、二十一世紀を担う子供たちの健全な発育をめざすための教育諸条件の整備が必要であります。
今年度は読谷小学校校舎防音改造工事や同校運動場の照明設備工事及び古堅小学校機器復旧事業を推進し、教育環境の整備を図ってまいります。
②社会教育、生涯学習の推進
今日の社会は、急激な科学技術の進歩や国際化、高齢化、情報化の時代を迎えました。今年度も豊かな人間性を備えた「人づくり」に資するため、年齢各期に応じた生涯学習プログラム、各講座等を積極的に推進してまります。
中央公民館は、地域住民一人びとりが生涯学習の場として各種学級、講座、講演会等を通してお互いの交流と活動を展開していくための拠点であります。今年度も引き続き青少年の体験学習講座や成人学級の開設、各種サークル団体の育成等を図り、併せて図書室の充実を図ってまいります。
特に昨年度はやちむんの里構想の第二段階として、村民がうやちむんに深く関わり、陶芸に親しむ環境づくりのため陶芸研修施設を建設してまいりました。今年度は村民ぐるみの生涯学習拠点として同研修所を活用し、やちむんを通した郷土学習、伝統工芸等の発展と後続者の育成など、文化村づくりの新たな運動の展開を図ってまいります。
また、社会教育関係団体の活動が円滑に運営されるよう継続して助成するとともに、今年度で十三回目を迎える北海道池田町との児童生徒交流事業も引続き実施してまいります。
③社会体育の振興
いつの時代にあっても健康はすべての基本であります。生涯を通して健康でスポーツを楽しむということは重要であります。したがって、今年度も健康づくりスポーツ教室や各種スポーツ大会、指導者の育成等に努めるとともに、各社会体育施設、プールやナイター施設の開放事業等を進めてまいります。さらに、体育協会等のスポーツ団体との連携も密にし、村民スポーツを振興してまいります。
④文化財の保護並びに文化創造運動の展開
文化はこの大地に生きる人間の生活の証であり、人類発展の姿であります。同時に人類のみが持ち得る崇高な諸活動が集約され、開花した現象でもあります。私たちはそれを正しく受け継ぎ、更に発展させていかなければばりません。また、文化は豊かな地域社会を形成する培養体でもあり、地方自治の確立につながるものであります。
先人の遺した貴重な文化遺産を発掘し、収集、保存調査し県内外の人々に公開提示し、研究機関としての機能も併せもつ歴史民俗資料館は、毎年その活動が継続発展され、郷土学習、研究の場、観光拠点の一つとしても活用されており、これからも尚一層の充実を図ってまいります。
読谷村の文化村づくりの一環として進められてまいりました美術館は開館五年目に入ります。これまで県内画家や彫刻家、陶芸家等のご協力で種々の展示会が催され好評を博しております。これからも二十一世紀へ大きく翔たく人材の育成をめざす教育・生涯学習の場として学校教育、社会教育と有機的につながりをもたせ、文化芸術活動及び情操教育の充実発展を図ってまいります。
また、読谷村におけつ美術工芸等の創作活動の発表の場でありますアンデパンダン展は今年で十四回目を数えますが、その内容はますます充実してきており、今年度も継続開催してまいります。
近年私たちの日常生活の中で、沖縄独自の文化としてのウチナーグチが見直され、児童生徒のウチナーグチによる弁論大会や芝居が取り組まれる等、その重要性が叫ばれております。沖縄の言葉は沖縄の最大の文化であり、言葉が衰退するとき文化もまた衰えるといわれます。ウチナーグチは私たちの暮らしの中に息づいてきた大切な文化遺産であります。そこで、もっと気楽にそして楽しく本来のウチナーグチを学び、後世へ伝える事業として今年度も「沖縄口講座」や第三回「スリー語やびら沖縄口」を開催し、沖縄の豊かな文化運動の一環として進めてまいります。
また、私たちの祖先が平和な村への祈りを込め芸能に情熱を燃やし、逞しく生き抜いたムラアシビの形態を再現し、読谷の芸能の復活、継承を図るため「城フェスティバル」を開催し、第三回「ユンタンザムラアシビ」、第四回「棒の祭典」等を展開いたします。
さらに、今年度は読谷村の各分野の文化団体が一同に集い、芸術文化活動を推進するため「読谷村文化協会」の設立をめざします。
※続く