読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1994年4月発行 広報よみたん / 6頁

【見出し】(2)産業経済の振興に関する施策 ①農業生産の基盤の整備②農地構造改善及び地域農政の推進③畜産業の振興④水産業の振興⑤商工観光の振興⑥伝統工芸の振興

 (2)産業経済の振興に関する施策

 ①農業生産の基盤の整備

 農業は地域社会の発展と人間の生活を支える最も基本的な産業であります。
 昨年、日本の農業は大きな転換期を迎えました。米の緊急輸入や農産物の自由化の問題、農業保護のあり方を含め、ますます厳しくなることが予想されます。このような状況を踏まえ消費者の需要動向に適応した生産性の高い農業をめざすことが大切であり、そのためにも基礎条件となる生産基盤の整備は不可欠の要件であります。
 本村におきましては、農業生産基盤整備事業を昭和五十一年の座喜味地区を皮切りにその後七地区において精力的に事業を推進し、現在二百五十六ヘクタール余の圃場整備を完了させてまいりました。
 今年度は、かんがい排水事業として進められております長浜ダムの建設事業は貯水試験を継続しながら周辺整備を行ってまいります。
 また、平成五年度までに完了した渡慶次、儀間地区の農村基盤総合整備事業に続き今年度から瀬名波、長浜、宇座を一地区とした瀬名波地区農村基盤総合整備事業が新規採択され、事業がスタート致します。
 県営畑地帯総合整備事業の波平地区は最終年度にあたり本換地と海岸沿いの植栽工事を実施し、土地改良総合整備事業では萩川地区の確定測量、本換地をはじめ池ン当地区の整備を継続実施してまいります。また、かんがい排水事業として県営西部連道地区、宇座地区、団体営渡慶次地区の各事業を推進してまいります。中前原農道については、今年度事業完了に向けて継続実施してまいります。

 ②農業構造改善及び地域農政の推進

 今年度も沖縄の自然特性を活かした収益性の高い農業を展開し、地域の特色にあった農業の組織化を通して農地利用の適正化、生産技術の向上、足腰の強い農業の体制づくりに努めてまいります。
 本村の基幹作目であるさとうきびにつきましては、収穫作業における省力化を図るためハーペスターを導入するとともに、優良種苗の普及など生産向上対策に努めます。また、本村はスイカ、メロン、小菊、紅イモの産地としても定着してきており、特に紅イモは読谷村の代名詞として使われるようになりました。これは、農家を中心とする生産体制づくりと農協、商工会、地元企業を中心とする商品化、流通体制づくりが連携し、村の特産品づくりが着々と進められており、村民も大きな期待を寄せております。今年度は、これまでの成果を踏まえ、優良種苗の供給により生産性の向上を図り、二次加工商品の開発事業等に支援してまいります。
 さらに、今年度は村内の土地改良等の基盤整備事業もほぼ完了しつつあることから、各地域ごとの営農指針を策定し、村全体としての営農基本計画を策定してまいります。

 ③畜産業の振興

 農産物の自由化の波は大きなうねりとなって日本の農業に覆い被さってまいりました。特に畜産物の輸入自由化は畜産農家へ深刻な影響を与え、畜産経営そのものを直撃し昨年に続き厳しい状況となっております。
 さらには環境問題、後継者問題等が大きな課題となっています。このような内外の諸情勢の中で本村畜産業も農家、関係者による一層の連携と協調のもと畜産業の改善向上に努力しなければなりません。
 そこで本年度も引き続き優良種畜導入助成を実施し、産地化、銘柄づくりを協力に推進してまいります。また、防疫対策、環境対策はもちろんのこと、各農家の実態把握の上に立った飼育管理技術の向上等を推進してまいります。
 さらに、種畜購入補助、予防注射手数料への助成、獣医師、人工受精師設置補助等を継続実施し、併せて養豚組合、畜牛組合の生産組織の強化を図ってまいります。

 ④水産業の振興

 漁業をとりまく助勢は水産物の輸入の増大とともに漁場環境の悪化、資源の減少等、漁業経営は厳しい局面に立たされております。このような情勢のもと、これからの水産業は周辺水域の高度利用、積極的な漁業保全と資源管理及び回復をめざし、「つくり育てる漁業」の展開と生産拡大のための諸施策が必要となってまいります。
 本村では、これまで漁業生産の拠点づくりとして都屋漁港の整備を促進し、各種の生産基盤施設を整備してまいりました。また、昨年度は漁業活動の拠点であり、関係者が久しく待ち望んでいました組合事務所及び集会施設が完成し、本村漁業の活性化が大いに期待されているところであります。さらには、構造改善特別対策事業により養殖、畜養のための施設が整備され、今年度から本格的に操業を開始致します。これによち安定生産と安定出荷が図られ生産拡大につながるものと期待を寄せているところであります。
 本年度も読谷村漁業協同組合が策定した地域漁業活性化計画を支援するとともに、地域漁業活性化事業補助、オニヒトデ駆除、漁業器具購入補助等を継続実施いたします。さらに、懸案でありました長浜船揚場整備事業のため助成してあります。併せて、婦人部を中心とした活動の活性化、青年部の活性化と鮮魚の一時処理加工、付加価値を高めた特産品づくりを推進してまいります。

 ⑤商工観光の振興

 本村の商業を取り巻く環境は消費者のニーズが多様化する中、日用雑貨・衣料品を主とした中規模小売店の進出が目立ち、都市型商業地の形態に変化しつつあります。このような状況下で商工会を中心に、既存商店街、地域小売店の活性化や新たな商店街のあり方を求めて、街づくり委員会を中心に、研究・懇談会が重ねられてきております。また、人材の育成や特産品の販路拡大をめざした物産展への助成等、今年度も引続き商工業の発展のため支援をしてまいります。
 観光振興の面では、これまで座喜味城跡や歴史民俗資料館、美術館、やちむんの里、残波岬、さらにはスタジオパーク「琉球の風」などそのネットワーク化が図られ、それに呼応した商業活動も活性化するなど明るい展望が開けてまいりました。
 また、西海岸の「沖縄トロピカルリゾート重点整備地区」で進められております民間の海洋性リゾートの整備については、地域も企業もともに発展するという基本的理念に立った個性ある観光リゾートの形成を促進致します。

 ⑥伝統工芸の振興

 昭和三十九年に読谷山花織の復興を成し遂げてから三十年の歳月が経過致しました。その間二百六十名の方々が復興に携わり、現在百四十名も組合員が読谷山花織事業協同組合に参加し、伝統技法を継承しつつ、地区工房三ヶ所などで生産に励んでおります。こうした努力から年々経営の安定、向上が図られつつあることは喜ばしいことでありますが、まだまだ伝統工芸を取り巻く情勢は厳しいものが予想されます。したがって、今年度も経営の近代化、合理化、技術・技能の向上と原材料の確保、後続者の育成、支援してまいります。
 やちむんの里を中心とする本村のやちむんは、今日では村内各地に30余の窯元を有する県内有数の産地として全国的に知れわたってまいりました。やちむんの里では販売拡大を図るため毎年十二月には「読谷山焼陶器市」が催され、内外から多くの方々が訪れ賑わいを見せております。今後も村民生活との融合、やちむんの普及などをめざし、関係者と相定携し販路の拡大を促進しつつ振興してまいります。

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