ポツリ、
ポツリと降りだした雨
久しぶりの雨
顔を空に向け、身体をひろげ
うりずんの雨を全身でうけと
めながら
僕は
走りすぎていく人たちを見て
いた
五〇年前のこの雨の中
肉親を失い
傷をおい、手足をひきずり
食べるものもなく
着るものもなく
必死に逃げまどっていた人た
ちは
この降りしきる雨に
すべてを洗い流してほしいと
ねがったのだろうか
穴の中では
大人のうめき声、子どもたち
が泣き叫ぶ
ザアーザアーと降る
この雨の音は
この声を消してくれただろう
か
いやしてくれただろうか
きっと、さらに大きく、暗く、
重くひびきわたらせたのだろ
う
僕はにくい
人の営みを、人の心を、生き
る命を
一瞬にして無にする戦争が
僕はちかう
海と風のかおるこの島を
二度と殺させないと・・・・・・・・
僕はいう
世界中の人々は皆愛しあえる
雨がやんだ
雨あがりのアスファルトに
光がはねて、とてもまぶしい