読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1994年9月発行 広報よみたん / 3頁

【見出し】最優秀賞作 知花竜海「光がはねて とてもまぶしい」

 ポツリ、
 ポツリと降りだした雨
 久しぶりの雨
 顔を空に向け、身体をひろげ
 うりずんの雨を全身でうけと
 めながら
 僕は
 走りすぎていく人たちを見て
 いた
 五〇年前のこの雨の中
 肉親を失い
 傷をおい、手足をひきずり
 食べるものもなく
 着るものもなく
 必死に逃げまどっていた人た
 ちは
 この降りしきる雨に
 すべてを洗い流してほしいと
 ねがったのだろうか
 穴の中では
 大人のうめき声、子どもたち
 が泣き叫ぶ

 ザアーザアーと降る
 この雨の音は
 この声を消してくれただろう
 か
 いやしてくれただろうか
 きっと、さらに大きく、暗く、
 重くひびきわたらせたのだろ
 う
 僕はにくい
 人の営みを、人の心を、生き
 る命を
 一瞬にして無にする戦争が
 僕はちかう
 海と風のかおるこの島を
 二度と殺させないと・・・・・・・・
 僕はいう
 世界中の人々は皆愛しあえる
 雨がやんだ
 雨あがりのアスファルトに
 光がはねて、とてもまぶしい

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