国体(少年男子ソフトボール競技)がとりもつ縁で交流のある鳥取県・淀江町とは昭和五八年以来、役場職員や同町議会関係者、商工会等、多くの関係者らが行き来する中で、十一年余にわたり旧交が深められている。
鳥取県から交流団
そのような中で、去る三月には楚辺子ども会から引率を含め総勢二十六人が淀江町(字田川地区西尾子ども会)を訪問し、芸能交流やスキー体験を通して双方の子ども達が親睦を深めた。
この交流を契機に、今度は同町の子ども会一行三十一人(引率五人、子ども会二十六人)が三泊四日の日程で来村。
八月二十日午後、沖縄に到着した一行は南部戦跡などを視察した後に楚辺区を訪れ、その日の夕には同公民館にて盛大に「歓迎会」が催された。
歓迎会の会場では、子ども会の母親や民泊を受け持つ母らが、手作りの夕食を準備して一行を歓待する中、ステージでは、「かぎゃで風」などの琉舞や「子ども獅子舞」を踊り、また、西尾子ども会から、同町伝統の「銭太鼓」と「傘踊り」の芸能が披露され、双方の余興で賑わった。
歓迎会では地元を代表して池原玄夫楚辺区長と村を代表して伊波清安教育長らが歓迎の言葉を述べ、また、広戸紀幸西尾子ども会団長が感謝の言葉を述べていた。
旧盆ウークイを体験
二日目(二十一日)の日程は視察研修。一行は、本村の座喜味城をはじめ、村立美術館・民俗資料館、やちむんの里、スタジオパークなどを見学する一方で、夜には各民泊家庭に二~三人が分散して宿泊し、沖縄の生活文化・風習を実体験。
各民泊家庭に宿泊した西尾子ども達は、本土とは異なる沖縄独特の旧盆ウークイの様子に、一様に驚いた表情を見せながらも、沖縄の生活文化に触れ、貴重な体験にそれぞれが感動を抱いていた。
民俗芸能で
区民を魅了
交流三日目(二十二日)の午前は子ども達が待ちに待った海水浴。両町村の父母や子ども達約六十人余が一斉にビーチに繰り出した。
あいにくこの日は台風の余波で波は荒く、残念ながら海の青さはなかったものの、それでも子ども達は大はしゃぎ。ビーチには海水浴を楽しむ子どもらの歓声が飛び交う中、父母らは安全対策に努める傍ら、昼食のバーベキューの準備に懸命に汗を流していた。
海水浴を終えた午後は旧盆のエイサーを見学した後、夕刻には「芸能交流会」に合流。交流会が行われるグラウンドには早い時間から同町の芸能を一目見ようと大勢の区民と訪れた。
西尾子ども会の子ども達による「銭太鼓」と和傘を持って踊る「傘踊り」の演技が開始されると、その素晴らしい演技は多くの区民を魅了し、場内から大きな拍手が送られた。この色鮮やかな和傘と銭太鼓は演技終了後に楚辺子ども会へとプレゼントされ、喜ばれた。
今回の交流を通して、広戸団長は「これまでにも身近なところに毎年、県外研修をしているが、沖縄は初めてなので事前学習をしてきた」と話した上で、「沖縄の子ども達が小さいころから郷土芸能に接し、大人や老人まで幅広い世層にまで広がっていることに芸能の違いを感じた。特に家族や兄弟、親戚などが一緒に集まって行う盆行事(ウークイ)の様子には大変なショックを受け、興味を覚えた」と印象を語り、また、楚辺子どもも育成会の比嘉正道会長は「西尾の芸能は素晴らしい。子ども達を通して有意義な交流が広がりとても喜んでいる。また、子ども会に寄贈された和傘は今後、楚辺区独自の創作演技につなげられないものかと考えている。今後とも交流を深め、鳥取での雪の体験と沖縄での夏の海水浴などを通して交流を継続していきたい」と語った。
双方の子ども達は、県外研修(鳥取県・淀江町と沖縄・楚辺)を通してより一層、交流の輪・友情の絆を育み、貴重な思い出を残したことでしょう。
なお、淀江町では同町の伝統産業「和傘」のジャンボ和傘(五メートル以上)を造り、今秋開催される「第20回読谷まつり」への参加を計画している。