読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1995年3月発行 広報よみたん / 2頁

【見出し】学力向上に更なる連携を

 本村では平成四年度から六年度までの三ヵ年間にわたり、県教育委員会より学力向上推進地域の指定を受け、読谷村学力向上対策推進協議会(知花亀次郎会長)を中心として、「学習意欲を高め、基礎学力の向上を図り、心豊かなたくましい幼児・児童・生徒を育てる」ことを実践目標に、学校・家庭・地域が一体となった実践活動が展開されました。

 最終年次の実践報告を行う

 村ぐるみの実践活動に取り組んできた読谷村学力向上対策推進協議会(以下、学対という)の実践報告会は二月四日午後、村総合福祉センターで開かれた。
 最終年次の報告会には、教職員や村内各小・中・高校のPTA関係者や各種団体等約三百五十人が参加する中、学対の知花会長は「これまで年次毎に、成果と課題を踏まえつつ組織の見直しと強化、活動の活性化を図り、各学校では学校長や教職員の理解と協力で実践態勢を充実させ、家庭・地域との連携も大きく前進した。本村の子供たちは素直な精神と限りない可能性を秘めており、県教育委員会の指定は終了しても、今後は教師・親・地域の大人としての義務として、次代を託する子供たちの健やかな成長を願い、更に連携を強化して、新たな気持ちで取り組んでいこう」と強調。また、山内村長は「学対が、児童生徒のもっている可能性・天性・意欲を高めていく動機づけをしてくれた。三年間の実践活動の成果が、各方面に具体的に発揮されることを期待している」と話した上、「今の子供たちは感受性・創造性・豊かな感性をもっている。子供たちのもっている可能性を百パーセント引き出すことが私たち大人の責任。お互いの気を引き締め、目の前の子供たちが大きくはばたくことを願おう」と激励した。
 実践報告では山内昌重学対事務局長が平成六年度の実践経過と課題を報告。「学校教育部会」では幼・小・中・高の校長や教諭らが、また、「家庭・地域教育部会」は部会・父母・生徒代表が、「調査研究部会」は部会部長によってそれぞれに過去一年間の活動報告が行われた。
 最終年次を迎えた報告会では、各部会の実践活動の成果と課題を踏まえ、今後も村民ぐるみの組織的活動を継続的に推進し、基礎・基本を身につけさせ、個性を伸長し時代の変化に対応できる「知・徳・体」の調和の取れた幼児・児童・生徒の育成を図るために、学校、家庭、地域が連連携し、継続して実践活動を展開していくことを確認した。

 成果と課題

【学校教育部会】学校教育部会は「基礎的・基本的事項の定着」を図るために、学校はどのように取り組めばよいか-を実践目標に掲げ、学校を中心として学力向上対策を推進し、これまでの取り組みを改善・充実させ、着実な実践を継続して標準学力検査の偏差値の平均を全国水準まで引き上げるよう努めてきた。その成果として、相互授業で教科を広げた検証授業をし、幼・小・中の情報交換や連携が深まってきた。標準学力テストや達成度テストの成績は全体的に向上し、「わかる・参加する授業」で生徒の活動を前面にだし、やる気を引き出した。テストの成果を分析し、授業のなかで重点的に指導したことなど。課題は、一人学びができるよう、各教科の具体的な「学習手引きの作成」と「学習指導の工夫」、「基礎的・基本的事項のまとめ」や「その評価の工夫」を提起している。
【家庭・地域教育部会】実践目標を「基本的な生活習慣の形成」を図るため家庭・地域はどのように取り組めばよいか-を設定し、学校は主に「基礎学力の向上」を担い、家庭・地域は「生活習慣の形成」を図るために連携し、地域関係団体の諸活動を通して教育力の向上を目指してきた。その成果は、三年間継続して取り組んだ結果、学校・地域・家庭が自分達の問題として考えて連携が図られ、多くの協力者が得られた。特にあいさつ運動では児童生徒や地域の父母等があいさつを交わすようになり、各字懇談会では各字とも活発な論議が交わされ、「子供達のために、地域が共に手を取り合って頑張るんだ」という理解が得られ、子ども会活動等が活発になると共に、PTA青少年指導員等の「夜間指導」は児童生徒の健全育成に成果を収めている。その反面、各ブロックや支部と学対、会員の連携をどのように進めるか、学対の運動を村民全体のものとして今後どう実践活動していくか、学校の月二回の休校(第二・四土曜日)にどう対応していくかが、課題として提起された。
【調査研究部会】実践目標を「基礎学力を高めるため、本村教育に関する実態を明らかにする」-を設定理由に、本村児童・生徒の実態を正確に把握し、地域の教育に関する諸調査を行い、分析・考察資料を作成してきた。その成果は、本村の児童・生徒の学力や生活の実態をとらえることができ、家庭、学校で早急に取り組むべき課題を見つけることができた。中学校では二時間以上家庭学習している生徒が増え、よい傾向を示している。しかし、知的発育の水準は全国水準に比べて遅れ、女子より男子の発育が遅い。児童の知的能力から「期待できる学力」と「実際の学力」とを比べると、その期待値に及ばず全体的に学業不振児が多く、基礎学力の充実を図る指導が必要。また、テレビ視聴が勉強に大きく影響していることから、家庭での学習環境の整備と努力と、「学校が楽しい」と答える子が多い中、いじめにあっても「誰にも相談しなかった子」がいることを重視し、適切な手立てをする必要があること。達成度テストの正答率は僅かに向上しつつあるが、正答率の男女差が大きく、それらを考慮した「授業の工夫改善」をしなければならないとし、そのためには今後も、基礎的基本的事項を明確にし、年間計画の中で、定着率の悪い領域・内容の指導時間等に配慮していく必要がある。と結んでいる。

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