一、はじめに
本日ここに、第二五五回読谷村議会定例会の開会にあたり、一九九五年(平成七年)度の予算案をはじめ諸議案の提案説明に先立ち、村政運営の基本姿勢と諸施策の概要を申し上げます。
一九九四年度もまもなく終り、いよいよ九五年度を迎えるのでありますが、読谷村政史上特筆すべき歴史的な動きの年度にあたり、議会議員をはじめ村民各位の深いご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
顧みますと昨年度も読谷村民は各分野で活躍され、着実にその成果をあげてまいりました。そのご努力とご活躍に心から敬意を表する次第であります。
さて、かつての米ソ超大国を中心とした冷戦構造の崩壊後、国際社会にあっては人類の共存・共生を理念とする新しい平和秩序を模索する時代へと変化してまいりました。これはまさしく対立・抗争ではなく理解と協調をめざす21世紀への歩みの始まりでありましょう。国内にあっても政治、経済、社会の各分野で旧体制の崩壊、価格破壊、価値の多様化等、デフレ的現象が表れてまいりました。これは即ち、20世紀体制から来るべき21世紀への新しい理念、新しい秩序、人間の新たな生き方を模索・確立すべく、歴史や大自然(地球)そのものから問われ、苦悩している人間社会の姿そのものであろうと思います。
国の内外を問わず現代社会は激動・激変の時代でありますが、そのような時代の中にあっても永遠の生命力を有する自治体としての読谷村は、激流や濁流に押し流されることなく、真なる姿を見定め、村民の幸せと地域社会の発展のために全力を尽くしてまいる所存であります。
二、村政に対する基本姿勢
読谷村政の基本姿勢を明らかにするためには、内外の情勢を的確に把握するとともに、過去の歴史的教訓に謙虚に耳を傾けることが必要であります。
先にも触れたとおり、現在の情勢は内外を問わず激動、混迷、混沌としており、人々は不透明な社会と将来への不安のなかにあって、暗いトンネルで過ごしている心理的社会状況のなかで、明日への希望の光をつかみかねて苦闘している状況であります。
我々は日本の近代以降、あるいは沖縄の歴史的教訓に立って、読谷村政の基本姿勢を今日まで堅持し訴え続けてきたのであります。
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という諺がありあますが、我々は歴史の教訓を忘却の彼方へ追いやるのではなく、そこから多くのことを学びとることができます。すなわち人々が21世紀に向け誤りなき道を歩むための教訓や精神的糧は、既に人類が歩んで来た幾千年の歴史の中に秘められているのであります。
今年度も村政の基本姿勢は、日本国憲法に謳われている「平和主義」「主権在民主義」「基本的人権の尊重」「地方自治の本旨」を基本とする憲法の理念を導守するとともに、その理念を踏まえて制定された「教育基本法」を尊重しつつ村政運営にあたるということであります。
今日まで一貫として地方自治体にあって「憲法理念」「教育基本法の精神」を訴え続けてまいりましたのは、戦前の軍国主義国家日本のアジアへの侵略戦争をはじめ沖縄戦の反省と教訓に立つからであります。
「剣を持つものは剣にて滅ぶ」とも言われております。戦後、日本が今日の経済的発展を成し得たのは、日本人の勤勉さもさることながら、日本国憲法の平和主義を貫いたおかげであると思います。今年度は、太平洋戦争・沖縄戦終結50周年の節目を迎え、改めて平和社会を創造する決意を固めることが重要であります。日本国憲法の平和主義は21世紀に向け、人類を共存・共生へと導き得る思想が体系化されているものであり、人類の向かうべき方向を指し示している現代の最も崇高な理念であると確信するものであります。
今年度は沖縄終戦結50周年の年であり、各種事業が計画されております。その記念事業のスタートの取り組みとして「非核宣言」の村民意思を体して執行部、議会の意思を集約し「不戦の式典」のなかで「不戦宣言」を内外に表明し、後世へとつなぐ平和事業にしたいと考えております。
尚、平和を求めてやまない読谷村政は、次の事項を声高らかに表明するものであります。
一、われわれは、自衛隊の海外派遣並びに募集業務等に反対し、憲法を基本にした日本の主体 的、平和外交の展開を訴えます。
一、われわれは、自衛隊を天災地変の災害救援隊と福祉貢献隊に組織改変し、二十一世紀高齢 化社会への対応を訴えます。
一、われわれは、反戦、反核を貫き核汚染のない地球環境と平和を守り、人類存続と文化創造の ため奮闘します。
一、われわれは、我々と我々の子孫の幸せと繁栄をめざし、平和な社会を築くため奮闘します。
一、われわれは、自治と分権・地域民主主義という時代の潮流い積極的に対応するため奮闘しま す。
一、われわれは、読谷村民の長年の闘いの成果である読谷飛行場の返還を実現させ、その転用 計画の具体化のため、村民の英知と力を結集し奮闘します。
一、われわれは、読谷飛行場の中に読谷村民の自治の殿堂(役場庁舎)、文化の殿堂(文化セン ター)づくりのため、村民の理解と協力、英知を結集しその実現のため奮闘しま す。
以上のことを強く訴えるものであります。
三、本年度の重点事項
一九九五年(平成七年)度の重点事項は次のとおりであります。
一、教育及び文化の振興
一、地域産業の振興
一、社会福祉及び高齢者福祉の充実
一、生活環境の整備
一、主要プロジェクトの推進
◎読谷飛行場問題の解決
◎読谷村役場庁舎建設事業
◎読谷村文化センター(仮称)建設計画
◎比謝川行政事務組合・ゴミ処理施設整備事業
◎長浜ダムかんがい排水事業
◎下水道整備事業
◎比謝川沿岸整備事業(泊城公園整備)
◎沖縄戦終結50周年記念事業
※続く