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(5)「ノーベル平和賞を夢みる村民基金」収益金事業の推進
本村の歴史、文化、産業等の特性を活かして、自ら考え、自ら実践する村づくりをめざし「ノーベル平和賞を夢みる村民基金」が設置され今年度で6年目を迎えます。
これまで人づくり活動、福祉活動、文化創造活動、緑づくり活動などに一定の成果をあげることができました。特に緑づくりや花いっぱい運動については、婦人会を中心にバス停留所周辺、遊び場周辺、公共施設周辺などに草花や観葉植物が植えられるなど、村内の諸団体の地域実践活動として取り組まれてきております。その結果、空き缶やゴミの投げ捨てがなくなったり、自宅周辺での花づくりを率先して行う村民が増えるなど、美しい村づくりへの意識の高まりが見え、さらに地域ぐるみでの緑化運動が独自に展開されるなどの反響も出てまいりました。
今年度も村内諸団体、村民の皆さまの自由でユニークな発想と熱意あふれる地域活動を期待し、継続助成してまいります。
(6)主要プロジェクト及び新規事業の推進
①沖縄戦終結50周年記念事業
今年は第二次世界大戦・沖縄戦終結50周年にあたります。戦後の混乱、異民族統治の二十七年、日本への復帰、今なお続く米軍の基地被害と、正に激動と苦難の半世紀でありました。そうした中でも、村民は荒廃した郷土の復興と産業の振興、伝統文化の継承発展に努め、今日を築き上げてまいりました。こうした先人の村づくりにかけた情熱を受け継ぐとともに、村民に一人びとりがこれまでの歴史と自らの歩みを顧み、平和の尊さを再確認し、21世紀に向かって新たな気持ちで出発する契機としたいと思います。
この歴史的節目の年にあたり、今年度は二度と沖縄戦の惨過が起こらないことを誓い、人類滅亡へつながる核兵器の全面破棄と戦争という愚かな行為を繰り返さないとする村民意思を表明し、平和な社会の建設を心に刻む「不戦の式典」をはじめ、米軍上陸の地、憲法条文モニュメント、各団体等の平和への願いを表明する「不戦宣言」等の碑をそれぞれ設置し、さらに従来から開催しております平和創造展の特別企画展、講演会など各種の記念事業を村民各位、各団体等のご協力のもと推進してまいります。
②読谷飛行場転用計画の推進
沖縄の復帰によもない、本土との格差是正と自立的発展の基礎条件整備をはかることを基本目標に策定された沖縄振興開発計画の第三次計画がスタートして三年が経過いたしました。計画のなかで県土利用の基本方向として米軍基地の早期整理縮小と返還跡地の利用にあたっては地元の跡地利用計画を尊重しつつ、その有効利用をはかるために諸施策の推進が示されております。
読谷飛行場の東側返還地域についても、第三次沖縄振興開発計画に位置づけがなされました。向こう七年間における第三次振計期間は、読谷飛行場転用計画を推進するための重要な時期との認識のものに国、県、関係機関と協議を重ね計画の推進にあたりたいと思います。計画実現にあたっては現地の条件整備の課題として、黙認耕作問題の解決と事業主体となる旧地主関係者の農業生産法人の設立等がありますが、地元の合意形成をはかりつつ転用計画を進めてまいります。
読谷飛行場問題の解決にあたっては、米軍のパラシュート降下演習の廃止と同用地の全面返還も大きな課題であります。今年は沖縄戦終結50周年の節目の年であり、読谷飛行場問題が目に見える形で解決されるよう村民とともに大きく期待するものであります。
対外的な動きとしましては、一九九四年六月、日米合同委員会施設特別委員会の下部組織として「読谷飛行場特別作業班」が設置され、読谷飛行場の全面返還を前提にパラシュート降下演習場の移設に向けて、現在日米間で精力的に検討が進められているところであります。また、今年一月村山総理大臣とクリントン大統領との日米首脳会談のなかで、沖縄の米軍基地問題に対し、米大統領は沖縄の三について、施設返還など基地問題解決に努力するようモンデール駐日大使に指示するなど、日米間で沖縄の米軍基地の整理統合に向け大きく進展の方向にあります。こうしたことからも、沖縄戦終結50周年の記念すべき今年を、読谷飛行場問題解決の重要な時期との認識のもとで、懸案の解決に向け一層の努力をしてまいりたいと思っております。
③庁舎及び文化センター(仮称)の建設推進
庁舎建設につきましては、平成五年度に基本設計を終え、村内の各団体等に概要説明会を開催し意見要望等を聴き、村民の意思を反映させ、実施設計を進めてまいりました。
用地につきましては那覇防衛施設局、沖縄総合事務局、米軍等の関係機関に要請をし、昨年十一月二日の国有財産沖縄地方審議会で読谷村の庁舎等用地について一時使用を承認する手続きが終了いたしました。現在日米施設特別委員会で協議が重ねられ、早い時期の使用承認が得られるよう努力をしているところであります。今年度は、いよいよ庁舎建設に着手する年になります。二か年におよぶかつてない規模の工事であり、具体的な作業が展開されることになります。これは、世紀の大事業であります。
読谷村の自治活動の拠点形成の事業を成し遂げるため、村民の英知と協力をあおぎ、併せて飛行場関係者をはじめ村民各位のご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。
また、文化センター(仮称)の建設につきましては、これまで住民活動の原動力としての役割を担ってまいりました現在の中央公民館機能をさらに充実させ、併せて固定席を有した大ホールを含めて計画しております。用地については、庁舎用地と一体として計画し、関係機関への手続きを進めてまいりました。
昨年は基本設計業務を沖縄県建築士会に委託し、県内の建築士会会員が自由に応募できるコンペを実施し、その中から最優秀作品を採用するという方式を採りました。今年度は、基本設計の成果を踏まえ、村内の各団体及び舞台制作等に関わりのある皆さんや音楽、舞踊、演劇の関係者の方々のご意見、ご要望を聴して、21世紀の読谷村の文化活動の殿堂としての位置づけを確立してまいりたいと思います。
④比謝川行政事務組合の今年度事業について
嘉手納、読谷両町村で広域的なゴミ行政を協力して推進するため、昨年四月一日を期して一部事務組合・比謝川行政事務組合が設立され、共い快適な住環境づくりに努めているところであります。昨年度からは、平成9年度完成をめざしたゴミ処理施設の建設に向け作業を進めているところであります。今年度は、併用施設としての粗大ゴミ処理施設の建設に向け準備を進めるとともに、読谷村から職員を一名派遣し内部体制の強化に努めてまいります。
⑤緑化及び美化運動の推進
親志砂良原の苗畑での緑化木及び花の苗の生産も順調に推移し、村民ニーズに対応した緑化、花づくりに大きな役割を果たしております。今年度も引き続き内容の充実に努めますとともに、庁舎建設に向けて緑化木の生産、村民からの提供木の移植等も継続して行ってまいります。
また今年度は、沖縄戦終結五十周年にあたり、県では去る大戦で焼失した緑の復活をめざして「県民百万本植樹運動」を実施しているところであります。
本村も「あなたも一本、私も一本、みんなで百万本」を合言葉に積極的にこの運動を進めてまいります。さらに、本村独自事業として第四回目を迎える読谷村植樹祭も読谷村緑化計画の推進事業として継続開催してまいります。
⑥海外移住者子弟研修生受入事業の推進
一九九三年度からスタート致しましたこの事業は、南米各国から好評を博するなか、三年次を迎えます。これまで第一期生の喜瀬普美頭君(ボリビア)に続き、昨年度は天久静香さんがブラジルから研修生として採用され、その成果を持って帰国致しました。今年度もブラジルからコンピューター研修の目的で山内早苗さんと山内由美子さんが応募し、この程採用決定を致しました。今後とも、海外移住者子弟の技術の修得と村民との交流を通して社会の発展に寄与する人材の育成と、移住国とふるさと読谷村との交友親善のために継続してまいります。
⑦第21回読谷まつりについて
読谷まつりは、年々規模内容ともに正に圧巻、豪華絢爛たるもので、観衆はもとより多くの出演者、関係者に感動を与えております。特に昨年は二十周年を祝う立場から、初めての前夜祭が開催され、また鳥取県淀江町や関西郷友会、新潟県大和町等県外からの来村も相次ぎ、多くの方々の参観をいただきました。
「発掘、継承の十年」から「創造の十年」を経て、二十一回目を迎える今年から、第二段階の「創造の十年」として位置づけ取り組んでまいります。
※続く