読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1995年6月発行 広報よみたん / 8頁

【見出し】戦争体験を語る(渡久山朝章氏)

 戦争回顧・墨絵展の最終日の夕、村中央公民館(仲真朝健館長)では同ギャラリーで「戦争を語る集い」を開いた。
 語り手には、かつて沖縄戦において鉄血勤皇隊に属し、身を以て苛酷な瀬演奏体験をした渡久山朝章氏(元古堅小学校校長)が招かれ、沖縄戦の状況が語られた。
 十五人の参加者らを前に渡久山氏は冒頭、「本当は戦争の話はしたくない」と話を切り出し、「多くの先生方や学友を失う中で、捕虜となって生きながらえたうしろめたさや、古里を破壊し尽くした戦争に加担した共犯者意識がる」と自身の心境を話した上で、「沖縄戦では老若男女や子供たちが巻き込まれた。軍隊は切羽詰まれば住民にも銃口を向ける。避難壕に残れば地獄、出れば死」と話し、さらに「方言を使う沖縄住民はスパイとして扱われ、いわれなき差別を被った。戦場で気が触れてあらぬことを口走った女性が、見せしめのために電柱にくくられ、刺し殺されるのを目撃した。あの血も凍るような体験と、惨殺された女性の断末魔の叫び声は今でも脳裏から離れず忘れられない」と”戦場の狂気”を指摘するなど、戦場で死の瀬戸際をさ迷った者しかわからない戦争の実相を語った。
 渡久山氏の体験談に参加した人々は一様に聞き入っていた。

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