読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1995年8月発行 広報よみたん / 8頁

【見出し】「読谷村少年の主張大会」最優秀賞受賞作品 ふれあいの旅で学んだこと 与座明子(古堅中学校)

 最近、韓国のニュースや情報が目につき、なぜか耳を傾け、見いったりする自分を発見しました。そして、「アンニョンハセヨ」こんにちはと、顔を合わせ、握手をした友達の笑顔を思い出すのです。私は「日韓友好少年少女の翼」で韓国に行ってきました。それまでは、からいキムチや民族衣装のチマ・チョゴリしかイメージすることができなかったのが、歴史的に大変深いつながりがあり、考えさせられる場面が数多くあるのに驚きました。
 その一つは、北朝鮮と韓国と外交関係の話し合いを行う板門店というところです。そこでは、銃を持って警備している軍人がいて、パスポートや荷物のチェックも厳しく、バスでは兵士が一人づつ、ついたりと、厳重な警備が行われていました。また、ビデオを見て勉強会をした時、15歳くらいの北朝鮮の男の子が、ちょっとした誤ちで韓国側に入ってしまい、亡命という事で、問題になった事件があったそうです。結局、両国間の話し合いのすえ、男の子は無事、北朝鮮に戻されたそうです。そして、国境線上に建っている建物の中に入ると、外から両国の軍人が監視していて、私達の会話も録音されるそうです。また、建物の中では、自由にいききできますが、外から一歩でも北朝鮮側に入ると、民間人は、あの男の子の様に亡命と見なされ、軍人は、射殺されるということです。
 このような、はりつめた緊張感ただよう中で思ったことは、同じ民族同士が対立し、憎しみあう人間は、「何ておろかなんだろう」ということです。そして、平和な生活は当たり前のことと、何の疑問も感じたこともない自分自身の姿に気づきました。テレビに映し出される戦争のニュースにも、ただ遠い遠いできごととして受け流し、考えることすらもなかったのです。平和な世界は、人間の英知と努力の積み重ねで成り立っているのではないでしょうか。
 韓国という国は今、経済的には素晴らしい成長をとげているのですが、考え方が違う北朝鮮との問題があり、精神的分野での向上を目指しているという説明がありました。
 経済的発展に目を奪われ、人間の大事な心の問題をおき忘れた結果、世界でも日本でも、さまざまなでき事としてあらわれているのではないでしょうか。
 今年は、「戦後五十年」といって、映画や体験者の語りを聞き、資料展や本などから戦争についての多くの情報があります。その歴史を正しくうけとめ、心の目を開いて考えなければなりません。国と国や人々の争いや憎しみをなくすにはどうすればいいのか、若い私達に必要なことは、正しい歴史を受け継ぐこと、多くの人々と積極的な交流をすることだと思います。私はこのふれあいを通して自分自身は、何の役に立つか、どうずれば貢献できるかを考えることができました。そして、これからは平和な未来を作る礎となり、力になれる人間として、また、未来へと向かって、大空を自由に飛ぶ鳥の翼になるために努力していきたいです。

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