農業所得の向上、農産物の生産拡大を図ると同時に、夢とロマンのある農業を展開しよう--と、本村では昭和四十九年十一月に農業用水資源の開発地域として「長浜ダムの建設」(農業用ダム)を申請。そして、二十年余の歳月を経て、待望の長浜ダムが完成した。
長浜ダム概要
貯水量 160万t
面積14.7ha
受益面積 280ha
受益戸数 1,432戸
長浜ダム本体の完成(平成六年度)に伴い、村では十二月十五日午後、西部達道土地改良区内(儀間区)で「散水式」の式典を、沖縄残波岬ロイヤルホテルで盛大に「祝賀会」を挙行した。
改良区内で行われた式典では、国・県からの来賓の方々や村内の多くの関係者らが出席する中、式辞で山内村長は「二十年の歳月を経て長浜ダムが完成し、散水式の式典が開催されることは感慨深く喜びでいっぱい。県や国の関係者に深甚なる敬意を表し、感謝します」と語った上で、「第一次産業(農業)が豊かになることを夢みて、県内でも屈指の農業ダムの建設に向けて頑張ってきた。この地を新しい亜熱帯農業の拠点にし、農家が豊かで幸せになっていただくよう今後も努力していきたい。かつてのボーロ飛行場が、このような生産の場に変わってこれ以上の喜びはなく、この大地に黄金の花を咲かせてほしい」と式辞を述べた。
式典では引き続き、当山弘建設経済部長による「事業経過報告」が行われた後、沖縄総合事務局農林水産部や県農林水産部、沖縄県土地改良事業団体連合会、儀保輝和村議会議長らの祝辞を受け、受益者を代表して安田慶文長浜川土地改良区理事長が「本当に長浜ダムができるのかと疑問であったが、現実にこのように完成できたのは行政の涙ぐましい努力のお陰。これは本村の農業に一大革命を起こすもので感激いっぱい。明るい展望のもとに、菊栽培などの生産性の高い農業に転換する若い農家も多くなっており、農業を産業、ビジネスとして考え、魅力ある農業を目指していきたい」とお礼を述べた。
その後、関係者らによる「散水の儀」と「くす玉割り」が並行して行われ、村長らが灌水用のバブルを開くと、改良区内に設置されたスプリングクーラーから一斉に水が放出され、水しぶきがいきおいよく空に舞った。
また、会場を移して催された祝賀会では、伊波栄徳県議会議員や知花俊雄JAゆいな読谷支所長が祝辞を述べ、ステージではJAゆいな読谷支所婦人部や渡慶次獅子舞クラブ、長浜、高志保、波平の各婦人会らが琉舞などの余興を披露し、祝宴に花を添えた。
本村の農地土壌条件が保水力に乏しく干ばつの害を受けやすい特性をもつ島尻マージ地帯であることから、その基本的条件である農業用水の確保が大きな課題であった。
このことから、本村では「雨待ち農業」からの脱却をめざして「長浜ダム」の建設を申請。建設に向けては調査開始から用地交渉や技術的問題を克服しつつ、二十年という歳月をかけ、沖縄本島では最大の農業用ダムとして完成。
ダムの建設には78億円の巨費が投じられている。
長浜ダムに関連した潅漑排水事業も各地区においての事業採択がされ、現在六地区(西部達道、渡慶次、浜屋、宇座、萩川、波平)で整備が行われている。
また、潅漑排水事業でできる全ての施設は、受益農家の共有財産として長浜川土地改良区によって維持管理・運営されることになる。
※長浜ダム関連事業地区一覧表