読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1996年4月発行 広報よみたん / 6頁

【見出し】(2)産業経済の振興に関する施策

①農業生産基盤の整備
 昭和54年度よりかんがい排水事業として進めてまいりました長浜ダムの建設事業は今年度で完了する予定であります。この間、本事業の推進に当たって国、県のご指導、ご援助をはじめ、地元の関係者にたいして衷心より感謝申し上げます。
 末端ほ場におけるかんがい排水につきましては、平成七年度から西部速道地区と萩川地区の一部(一九・二ha)で供用が開始されております。併せて、県営、団体営のかんがい排水事業も各地区で実施されておりますが、今年度も引き続き西部連道地区、宇座地区、萩川地区、渡慶次地区、波平地区、座喜味地区で各々のほ場内での管水路、散水施設、暗渠工事等を実施してまいります。
 平成七年度末におけるかんがい排水施設整備面積は、八六.八haあり、今年度計画の分を含めますと一四一・八haで全体の五十・六%が完了する予定であります。
瀬名波地区集落地域整備事業は、瀬名波地区で集落道、農村公園及び農村集落施設の整備を行ってまいります。長浜地区では、返還軍用地跡の道路整備と農村公園の実施設計業務を進めてまいります。
 渡具知地区の団体営かんがい排水事業は、昭和五十七年度から昭和六十年度の間で二一・九haの整備を行いました。しかしながら、当時のサトウキビを中心とした作目であったことに対し、現在は花卉や野菜等が主体となったことにより農業用水の絶対量が不足し、新たな水源を確保する必要が出てまいりました。そこで、今年度は古堅地内のミンチェーガー(湧水)を利用し貯水池として幹線管路の整備を進めるため、新規事業採択をめざします。
 さらに昨年に引き続き渡具知地区では、支線農道の舗装を行うとともに、渡慶次、西部連道地区についても平成九年度の同事業採択に向けて実施設計業務を進めてまいります。
 水環境整備事業につきましては、長浜ダム下流の部分で河川整備、修景施設など具体的整備が開始されます。また、長浜ダム上流(座喜味地域)の部分につきましては新規事業採択をめざしてまいります。


 本村の農業振興をさらに強化するため、JAゆいな農協読谷支所、農業改良普及センター、県農業試験場、農業委員会等の関係機関、団体との連携を密にし、本村の実情に応じた農業振興策を展開しているところであります。
 今年度も引き続き、営農基本計画を基に、本村の持つ自然特性を活かした、生産性の高い農業、自立できる農業経営体の育成をめざしてまいります。
 基幹作目であるサトウキビにつきましては、品質取引制度の移行に伴い、優良種苗の普及、病害虫対策、堆肥投入による土づくりなどを推進し、品質の向上を図るとともに、ハーベスター等による省力化にも努めてまいります。
また、小菊、メロン、紅いもの生産につきましては、かんがい排水の整備等によって着実に生産量の増加がみられます。小菊については、若い世代の方々が中心となって生産に励んでおられ、今後は他の作目での後継者の育成確保のため、引き続き、農業後継者育成資金貸付基金等の活用を図ってまいります。


 近年の畜産を取り巻く情勢は牛肉の自由化や価格の低迷等もあり、引き続き厳しい状況下にあります。さらに、都市化に伴う環境問題、経営者の高齢化に伴う後継者問題が大きな課題となっております。
しかしながら、本村畜産業は農業作目の中でも重要な位置を占めております。そこで、今年度も引き続き関係機関と連携のもと、優良品種導入助成、防疫対策、環境対策等をはじめ、飼育管理技術及び農業経営技術の向上を推進してまいります。
 また、予防接種手数料の助成、獣医師、人工受精師設置及び人工受精センター補助等を継続実施し、農家の生産意欲を高めるとともに、畜産まつりを開催し、本村の畜産業の振興に努めてまいります。

④水産業の振興
 水産業につきましては、昨年は長浜船揚場を整備し、関係漁民から漁業生産の高率化と安全性が高まり大変喜ばれているところでございます。また、積極的な漁場の保全と資源管理「つくり育てる漁業」をめざし、今年度も沖縄の亜熱帯気候を活かした養殖漁業の魚種拡大のため国外から種苗を導入し、安定生産と安定出荷をはかるとともに、養殖漁業の技術向上に努めてまいります。
 今後とも、昨年に引き続き漁業活性化と漁業経営の健全化をめざし都屋漁港の整備をはじめ、地域漁業活性化計画を支援するとともに、漁港利用者や観光漁業を充実させるための施設整備と海岸域の地域環境保全推進調査業務を実施してまいります。

⑤商工観光業
 県内の景気は公共投資・個人消費が緩やかな回復基調にあると云われております。しかしながら、地域商店街・小売店の現状は大店法の緩和により村内及び近隣市町村への大型店の進出等の影響をうけ、依然として厳しい状況下にあります。
 本村の商業者のほとんどは零細事業者であるため、経営基盤の強化には時間と指導体勢の強化が必要であり、今年度も商工会へ助成を行うとともに、商工会が推進する地域活性化事業、街づくり委員会等に対し支援してまいります。
 中小零細企業者の育成は、国、県の融資制度の活用を図るとともに本年度より本村独自の小口融資制度を創設し、経営基盤の強化、経営力の向上を図ってまいります。
 観光産業につきましては、沖縄海のカーニバルの一環として、県と相提携し、「残波まつり」を開催、誘客の増加をめざすとともに、村内観光施設関係者と連携し観光振興に努めてまいります。
⑥伝統工芸の振興
 読谷山花織は先人の残した伝統文化であり、本村の貴重な産業であります。復興から今日まで施設の整備と組合への支援を行ってまいりました。読谷山花織事業協同組合の生産高は一定の数値で推移しており、経営状況は堅実に推し進められております。このことは県・村の支援によって実施する販路開拓事業等の成果であり、今年度も花織組合の経営基盤の強化を図るため、組合が推進する販路開拓事業、組合員の技術・技能の向上、後継者育成事業等を支援してまいります。
 また本村では、陶芸活動が行われて二十四年が経過いたしました。その間、やちむんの里を中心に村内各地に三十余の窯元を有する県内最大の産地に発展してまいりました。毎年十二月に開催される読谷山焼陶器市、その他のイベントでの需要拡大が重要であります。今後ともやちむんの普及を図るため、関係者と相提携し、販路の拡大等を促進してまいります。

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