【東京】日米が五~七年以内の全面返還に合意した米軍普天間飛行場の返還条件である「沖縄の既存基地内へのヘリポート新設」問題で、米側が滑走路建設も要求していることが十九日までに明らかになった。建設場所は嘉手納飛行場に隣接する嘉手納弾薬庫地区で合意している。政府が要求を受け入れれば、普天間飛行場の代わりに、滑走路付きの本格的な海兵隊基地が新たに設けられることになり、県民の反発は必至だ。
滑走路の新設は、返還条件には明記されておらず、返還の合意が発表された橋本首相に■■■駐日米国大使の■■日の記者会見でも言及はなかった。
返還について米側は、普天間飛行場に配備されている約七十機のヘリコプターを収容・運用できる滑走路付きの施設の新設を求めている。面積は現在の普天間飛行場(約四百八十㌶)より小規模となる。
防衛庁は十六日、与党沖縄米軍基地問題プロジェクトチームに対し「普天間と同じスケールの滑走路を設けるとなると、普天間返還経費に三~四千億円かかる」と説明している。
米側の滑走路新設要求に■■■日出男防衛庁長官は十九日午前の閣議後の記者会見で、「(返還条件に)数十機のヘリコプターが駐機できるヘリポートを造るということであり、どのような内容のものが必要か、当然ながらこれから詰める必要がある」と述べた。
《県、新設要求に戸惑い》
普天間飛行場のヘリポート移設に伴い、米側が嘉手納弾薬庫内への「滑走路新設も要求している」との情報について、県基地対策室では「まったく何も聞いていない」とコメント、戸惑いをみせている。
【読谷】読谷村議会(儀保輝和議長)は九日午前、臨時議会を開き、「在沖米軍基地返還に伴う基地機能の読谷村内移設に反対し、その撤回を要求する」決議と意見書を全会一致で可決した。戦後五十一年にわたる基地被害に加え、基地の村内移設による「たらい回しと基地機能強化」に対して村民の怒りは頂点に達し、十九日には基地の移設に反対する村民総決起大会の開催も予定している。あて先は決議書が駐日米国大使、在日米軍沖縄地域調整官、海兵隊第一海兵航空団司令官など。意見書は内閣総理大臣、外務大臣、防衛庁長官、県知事など。
臨時議会は先月十五日の日米特別行動委員会(SACO)の中間報告で発表された普天間基地の嘉手納基地弾薬庫地区(読谷村恩納)の滑走路新設について村民の生命、財産を守る立場から反対し、日米両政府に撤回を要求するため開かれた。
決議文は新たな基地建設に対して「基地の重圧の下で耐え難い犠牲を強いられ、基地の整理、縮小、返還を求める村民要求をまったく無視し、断じて容認できるものではない」と厳しく糾弾している。
さらに「長年、読谷補助飛行場における落下さん降下演習によって貴い生命、財産を奪われ、計り知れない事件、事故で生活を脅かされ続けている」と指摘し、「ヘリ部隊を中心に航空機が配備されると、小中学校や住宅地域を日常的に展開飛行することになり、著しく危険な状況となり、基地機能強化■過酷な犠牲は絶対容認できない」と強く訴えている。
基地関係調査特別委員会の当山真市委員は「過去幾度となく墜落事故を起こしたヘリ部隊の移駐によって村民はまたもや安住の地を失い、危険な傘の下で苦痛を強いられる。これ以上の過酷な犠牲は容認できない」と提案理由を述べた。
読谷村は先月十五日の日米特別行動委の中間報告で移設条件付きながら楚辺通信所(五十三㌶)、瀬名波通信施設(六十一㌶)の返還が正式決定されただけに、今回の滑走路新設計画にいらだちを隠せない。