【見出し】黙認耕作地に保養施設 読谷村楚辺のトリイ通信基地米軍、今月中旬から着工 村民に撤去を通告 ビーチも閉め出し? 村長ら強い反発 米陸軍特殊作戦部隊(グリーンベレー)配備反対の闘い
【読谷】読谷村楚辺にある米軍基地・トリイ通信施設で、在沖米陸軍が総面積約十六万五千平方㍍に及ぶ海浜保養施設の建設計画を、二年がかりで進めていることが七日までに明らかになった。これは軍当局が地元の楚辺区長らを基地内に呼び、図面を提示するなどして、協力を求めたことによるもので、建設計画が予定通りに実施されると、これまで村民が自由に出入りできた楚辺の浜からシャットアウトされるばかりでなっく、施設予定面積の半分に上る、八万二千五百平方㍍の黙認耕作地もつぶされるのは必至の情勢となっている。米軍側は既に予定地内六カ所に看板を掲げ、農作物等を三月十五日までに撤去するよう通告している。米軍側の図面によると保養施設はキャンプ場、ボート置き場、ビーチパーティー場、球技場などを含む広大なものとなっている。米軍の通知を受けた楚辺区では比嘉正善区町名で村当局、那覇防衛施設局に計画中止の要請を提出したが、予定地外の広大な黙認耕作地との兼ね合いもあって、大きなショックとともに困惑の色も隠せない。また、山内徳信村長は「地元住民には唯一のビーチ。復帰後、縮小されつつある基地の中で、保養施設の建設は基地機能の強化だ。米軍側の意向をそのまま受け入れるわけにはいかない」などと、強く反発している。
沖縄駐留米陸軍(司令官・ビリー・G・キース大佐)報道部は七日、本紙に対して「施設着工は三月中旬で建設計画を中止する考えはない」としている。しかし、施設内ビーチへの地元民の立ち入りと畑地については「検討中」とコメントしており、今後、地元の楚辺区、村当局との話し合いで調整される余地はある。
また、建設目的については米軍人とその家族にビーチおよびキャンプ地等を提供するためで、主な施設はビーチに必要な諸施設、機材および機材置き場、ボート用の移動さん橋、運動場および家族の健康増進センター、キャンピング地域などと話している。
黙認耕作地への出入りは従来、三カ所の農耕者用ゲートから随時、自由にできたが、今後は「引き続き認めるが、農耕者と明確に収穫に従事する者に限定する管理体制が設定される」。この点について楚辺区長らとの話し合いでは「農耕者ゲートは十六時間、ビーチゲートは二十四時間のガードによる立■体制を敷く」と、司令官自身が話している。
一方、那覇防衛施設局は「黙認耕作地、ビーチに自由に出入りできることから、最近畑が荒らされたり、施設が壊されることが続いているので施設の管理、保安上、警備を見直したいと聞いている。その一環として黙認耕作も必要最小限は排除したいと聞いている。しかし、地元では、それで生計をたてている人もいるので双方の意見を調整中だ。キャンプ場などの話はまだ聞いてない」と、コメントしている。
トリイ通信施設 読谷村の南西に位置し、西太平洋地域における戦略通信網の最重要施設。「米軍の全世界通信ネットワークに欠くことのできない」米軍統合情報処理センターとして四軍にしようされており、約二千人の米軍人・軍属等が勤務している。
その矢先(三月十七日)、今度は「トリイ通信施設に米陸軍特殊作戦部隊(悪魔の部隊グリーンベレー)を配備する」と米軍がマスコミを通じて発表。これには村長も激怒し、「復帰後、縮小されつつある基地の中で、これ以上の基地強化は絶対に許さない」と村ぐるみの闘いを決意。村では村民総決起大会(三月二十一日)や県民総決起大会(四月二十日)を立て続けに開催して基地強化に反対し、トリイ基地への抗議行動を行ってきました。
このような村民ぐるみの抗議行動で、楚辺兼久ビーチ拡張問題については米軍としても、当初計画(五万坪)から「一万坪に規模を縮小し、ビーチの利用には区民と共同使用する」として双方が譲歩。また、グリーンベレーの配備については、基地施設内ということもあって、村民の目を盗むかのように隠密に進められ、強行配備(九月二十八日米軍発表)されました。
これに、読谷村では三度「米軍特殊作戦部隊の強行配備に抗議し撤退を要求する村民総決起大会」を古堅小学校で開き、結集した四千人の村民がトリイ基地ゲート前までデモ行進し、怒りの拳を突き上げました。