《第一陣派遣は下旬 局地戦争テロに対処》
【東京】外務省など関係省庁によると、米陸軍は、小規模局地紛争やテロリズムに対抗する特殊作戦部隊(SOF)を三月中に読谷村のトリイ通信施設に配備することを決めた。配備規模は、一個大隊二百五十人から三百人で、日本政府にも既に通告。日本政府側も特殊部隊の沖縄配備が、事前■■の対象となる「部隊配備の重要な変更」にはならないとして、受け入れる方針を示している。米陸軍の特殊作戦部隊(グリーン・ベレー)は、ベトナム戦争当時沖縄に展開、破壊工作を主任務とする「悪魔の部隊」として恐れられた。読谷村では、米軍保養施設問題も持ち上がっており、特殊部隊の新たな配備はさらに波紋を広げる一方、政治問題化も必至。
関係省庁の話を総合すると、沖縄のトリイ通信施設に配備される特殊作戦部隊一個大隊は、三月中に第一陣が派遣され、順次配備を完了する予定。米国防総省では昨年夏苛、特殊部隊の沖縄配備を日本政府に折衝しており、日本政府側では、日米安全保障条約の事前協議の対象のひとつとなっている「配備の重要な変更」には当てはまらないとして、受け入れる意向を持ち続けていた。
外務省北米局安保護など関係省庁では、同部隊の沖縄配備について「公式にはノーコメント」としながらも、「二百五十人から三百人規模の特殊部隊の動きがあるのは知っている」と述べている。また、「事前協議では、陸上の一個師団規模(一万人程度)の変更が対象」として、安保条約上問題がないことを強調している。
米軍筋によると、沖縄配備の特殊作戦部隊は、八二年十月に統合された第一特殊作戦コマンドの指揮下にあり、任務としては「東南アジア地域でのテロ行為に対処する」としている。しかし、軍事関係筋では、今年一月に創設された統合参謀本部の合同特殊作戦局(JSOA)統括下の陸・海・空三軍特殊作戦部隊は、単にテロへの対処だけでなく、紛争地帯での破壊工作など任務としている、との見方。
《既に一部要員到着か 一個大隊を上回りそう》
米陸軍特殊作戦部隊お沖縄配備計画について、関係者筋が十六日明らかにしたところによると、「既に一部の要員は陸軍トリイステーション(読谷)に到着している」という。また、同筋は「同じ規模の部隊が近く沖縄から引き揚げるので、在沖米軍の総兵員数には大きな変動はない」と説明している。
沖縄から引き揚げる部隊名については同筋は明らかにしてないが、陸軍の情報関係ではないか、とみられている。
また、「日常的な訓練はどこでやるか、決まってないが、海兵隊北部訓練場などが使用される可能性もある」としている。
同筋は、沖縄に配備される特殊部隊の規模について、一個大隊の二百五十から三百人(読売新聞、十六日朝刊報道)より多くなるだろうーと説明している。
《陸軍部隊の増強、10年ぶり SOF強化》
【ワシントン十五日共同】米陸軍省は十六日、特殊作戦部隊(SOF、通称グリーンベレー)一個大隊を沖縄に再配置する計画を発表する。日本への米陸軍部隊増強は約十年ぶりである。
特殊作戦部隊は小規模地域紛争、ゲリラ戦、テロ攻撃などに対処する任務を持っており、ことしの国防報告は今後SOFを強化する方針を示していた。
《米、きょう正式発表》
このため、現在配備されている地域は、世界でも西ドイツと中米のパナマなど緊張関係の強い国々に限られており、アジア地域では初めての沖縄配備は、ソ連をはじめとする共産国家の極東軍事増強に対応したものとも考えられる。
日本政府関係者によれば「特殊作戦部隊が、既存のトリイ通信施設に配備されるのは間違いない」と読谷村への配備が「既定の計画」であることを明らかにしており、米陸軍(本国)でも十七日中には正式発表されるという。
また、一九八三年(昭和五八)の四月四日未明、ゲート前の公道を歩行中の村民に対して、立哨中の米憲兵(MP)が銃口を向け発砲するという事件がありました。
この発砲事件はまさに、軍事基地の実態をまざまざと露呈し、県民、村民の生命が絶えず恐怖にさらされている実態が証明されました。
事態を重視した村では直ちにトリイ基地の司令官を訪ねて厳重に抗議すると共に、事件の徹底した真相解明を求めました。これに、同基地の司令官は「威嚇のために発砲した」と答えたのに対し、在沖米陸軍報道部は「偶発的な発砲である」と村民を愚弄したコメントを発表し、村民の激しい怒りをかいました。
人命を全く軽視した軍事占領意識に、憤りを覚えた村議会は六日午前に臨時議会を招集して抗議決議を全会一致で採択。その日の午後には各種団体の代表からなる抗議団(総勢五十六人)と共に、トリイ基地への抗議行動が展開されました。
この事件は県や県議会でも大きな問題として取り組まれ、県議会においても米軍の綱紀粛正と再発防止の「抗議決議」が採択されました。
この事件に関し、「暴発」を主張してきた米軍も、盛り上がる世論に非を認めざるを得なくなり、四月十二日、県に対して公式に「謝罪」すると共に「発砲した米兵を軍法会議で処罰する」と約束しました。