《戦争利用に渡さぬ 「米軍帰れ」とデモ気勢》
【読谷】「戦争につながる一坪の土地たりとも提供しないぞ」「グリーンベレーはプロの殺し屋。子を持つ母親の立場からも絶対に許せない」ー二十一日の村民決起大会で村内各層からの代表者は次々と厳しい口調で米軍を糾弾、決意表明した。会場の古堅小学校グラウンドはトリイ通信施設とフェンス一枚で区切られただけの”米軍同居”状態。寒風が吹き抜ける中、大会は進められたが、楚辺区民をはじめとする参加者は赤鉢巻き姿で最後のデモ行進まで決然とした姿勢を崩さなかった。不測の事態に備えて県警から機動隊二個中隊が出動したが、トリイ通信施設のゲートはピシャリと閉ざされ、トラブルはなかった。
保養施設、グリーンベレー配備と米軍の一連の動きに村民の不安と怒りは高まり、村民ぐるみの闘いはこの日幕を切って落とされた。なかでも楚辺区民と特殊部隊の訓練に使われるとみられる読谷捕縄飛行場の旧地主の危機感は募る一方。村民総決起大会に先立って行われた楚辺区民集会で地主会の池原昌繁会長は「飛行場の返還は長年にわたる努力で、県、国に窓口もつくられ手続きが開始された。特殊部隊の配備はこれらを踏みにじるもの。生活、文化の場は私たちの手で守り抜かないといけない」と熱っぽく訴えた。
また、村民大会でも楚辺区の比嘉正善区長は「生活基盤を奪うだけでなく、多くの米兵が来ることで凶悪事件も増えるだろう」などと、村民の協力を求めた。新垣松蔵漁協長は「米軍がし尿で汚した海をよみがえらせたのは村民。それを一方的に米軍が奪うのは許せない。施設が出来上がると漁民とのトラブル、定置網などへの被害も出る。われわれの生活を根底から破壊するものだ」などと糾弾した。