読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1996年7月発行 広報よみたん / 20頁

【見出し】定置網から1キロ内に降下(海上パラシュート訓練)米軍「指定海域」漁協は否定 漁民「無謀」と反発 

 読谷村沖の海上で四日夕、米軍の輸送機を使った兵員・物資パラシュート降下訓練が住民に目撃された問題で、在沖米空軍は五日、「第353特殊作戦部隊が実施した訓練であることを正式に認めた。訓練を実施した海域について「一九八八年に降下地帯として指定された海域だと認識しており、現在、在日米軍司令部に確認中」としている。しかし、読谷村漁協は「訓練水域でない」と明確に否定。公有水域で降下訓練を実施した前代未聞の過失である可能性が高まっている。目撃した漁民らは「定置網や船から一㌔と離れていない至近距離だった」と憤った。

《協定違反が濃厚》
 今回の訓練で空軍から施設局への事前通告はなかった。民間人の立ち入りが想定される演習場での訓練の場合。日米地位協定で米軍から那覇防衛施設局を通して事前通知が義務づけられているが、今回は通知がなく地位協定違反の疑いは濃厚。
 第353特殊部隊は二年前にフィリピンのクラーク基地から嘉手納基地に一時移駐。嘉手納基地渉外部は演習内容については詳述していない。
 訓練水域かどうかについて、施設局は「現段階におけるコメントは差し控えたい」とだけしている。

【読谷】目撃した組合員らは「落ちてくるのを見た瞬間、定置網に落ちなければいいがーーと心配した」との不安にかられていたことなどが、五日改めて明らかとなった。漁協組合員など村民は「演習区域でもないのにとんでもないことだ」「村民の頭上にいつ落ちてくるか分からない」と不安げ。また山内徳信村長も「読谷は陸も海上もパラシュート演習場か。海は漁協の仕事場であり、大変な怒りと不安を感じている。許し難い行為だ」と怒った。
 漁協組合員によると、パラシュートが降下した場所は、沿岸から一㌔余り先に広がる浅瀬で通称「イナンビシ」と呼ばれる場所の沖の海域。イナンビシのわきには大型定置網だけでなく浮沈式いけすも設置されている。目撃した組合員らはいけすでの作業を終えて港へ船を走らせた直後。同乗していた組合員(四一)は「船から一㌔も離れていなかった。無謀な訓練だ。こんな海域でやってほしくない」と反発。また、パラシュートの形は丸型ではなく、四角形のもので、落ちながら方向を調整しているようだったーーとも証言した。
 山内村長は「補助飛行場での訓練も、米軍や日本政府に一日も早い廃止を求めている。(海上への落下も含め)米軍のめちゃくちゃで、やりたい放題の演習を証明するものだ。これを許しては村民や県民からいつ犠牲者が出ないとも限らない。日本政府からも抗議してほしい」と話していた。

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