【読谷】毎週のようにパラシュート降下訓練が実施され、村民の反発が強まっている読谷村のド真ん中にある読谷補助飛行場で十三日午前、在沖米空軍はNBC(核・生物・化学)兵器戦をも想定した滑走路損害査定訓練を五月以来、約二ヶ月ぶりに再開した。折しも山内徳信村長、村議会の代表らが上京し、防衛施設庁や外務省などに、「演習場の撤去」を要求しているさ中の訓練の強行。村民は占拠した滑走路上に今回初めてテントを張り、「もはや我慢の限界」「体を張ってでも訓練を阻止するぞ」と怒りをぶつけた。訓練は間もなく抗議団を避ける形で始まったが、村民と米軍のにらみあい、やりとりが午前中続いた。
村民が訓練場入り口の滑走路南端に詰め掛けたのは、この日午前七時すぎ。その数ざっと百五十人。村職員はじめ、確信議員団、区長、そして地主会が険しい表情で滑走路上に座り込んだ。
むしろ旗には「ゆるち ゆるさらん(絶対に許せない)」と、先に飛行場問題で返答に難色を示す発言をした外務省北米局長を糾弾する決意を大書。滑走路わきには、初めて村民による監視テントが設置され闘争の強化を示した。
午前七時半、抗議団は立ち上がって一斉に怒りのシュプレヒコール。地元楚辺区の池原伝雄区長は、先日発覚したトリイ通信施設内の黙認耕作地撤去通告問題に触れながら「耕作地は集落の守り神がある聖地であり、(耕作地撤去は)区民の心をも踏みにじるものだ。もはや我慢の限界。滑走路訓練なども許せばますます基地は強化されるばかりだ」と訴え、同じ楚辺区の伊覇栄徳県議は「米軍は練度の維持というが、人を殺すための練度を維持するのか。訓練は体を張ってでも中止させよう」と強調した。
午前八時二十分に村の松田重信総務部長らが米軍に対し「村長が何のために上京しているか分かっているはずだ。中止してくれ」と申し入れた。しかし、警備する憲兵隊は「われわれは警備のために来ているだけ」と突っぱね、松田部長らは「警備を引き揚げたらどうだ」と詰め寄った。「そうはいかん。司令官の指示だ」と憲兵兵。村民は「中止申し入れは何度もやっており、司令官も知っているはずだ」と声を荒らげた。
午前八時三十五分すぎに、ついにテントをわきから滑走路上に移動し、米軍の前に強行設置。慌てた米軍は強制撤去に乗り出し、嘉手納署も撤去通告を再三にわたり出したが、抗議団は地べたに座り込んで頑として動かなかった。