【読谷】在沖米海兵隊は、二十日午前、読谷補助飛行場でのパラシュート降下訓練を通告通り強行した。読谷村の山内徳信村長を先頭に村民約三百人が現場でピケを這って反対行動に立ち上がった。しかし、米軍は「ここは日本政府が認めた演習場である。キリーン将軍の命令を受けての演習で将軍の命令がなければ演習を中止するわけにはいかない」と強硬な態度で終始。現場に駆けつけた那覇防衛施設局の飯村次長からも「日本政府の立場からもきょうの演習を中止してもらいたい」と申し入れたが米軍は聞き入れなかった。山内村長が米軍の現場責任者で米海兵隊の訓練部長・ハウズ大佐に演習の中止要請を激しく詰め寄っている最中に、上空を旋回していた。V10ブロンコ機から三人の米兵が訓練を開始、現場は一時混乱状態となった。このため、米軍は、一回の降下訓練を実施しただけで同日午前九時五十分、演習を中止した。
《施設局も中止を要請》
山内村長をはじめとする阻止団は、東の空が白みはじめた二十日午前六時すぎから続々と補助飛行場西側に集まりだした。「指揮車を現場に入れない」との■い態度で阻止団は、飛行場入口に人垣を作って、米兵の到着を待ち受けた。
同日午前七時二分、ハウズ大佐が日本製の■車両で現場に乗りつけた。ハウズ大佐は、部下にピケを強行突破するよう命令。しかし、村民が体を張って車を押しもどしたため、一時は断念して引き返したが、再び現れ、山内村長らに「演習は法律で認められている。阻止行動は違法行為だ」と現場から立ちのくことを要求した。これに対して山内村長は「さる六日の事故の真相も究明されていない中でわれわれは、断じて演習を容認するわけにはいかない」と強く演習の中止を迫った。
現場での話し合いの中で、米軍は、終始「演習は日本政府も認めている」と繰り返し、村長らの要請を聞き入れなかった。特にハウズ大佐は「黙認耕作も好ましいことではないが、米軍は村民のためにこれを認めている。パラシュート事故についても十四年前に死亡事項が起きたことを知っている。しかし、当時とちがって、いまは、人間の降下訓練に限って行っている」と村民の不安をまったく感じていない様子だった。
これには、山内村長が激怒、「日常的に村民の家にも落ちてきているのが現実だ」とくってかかる場面もあった。