「空から何が降ってくるかわからない」-読谷村の米軍読谷補助飛行周辺の住民にとって、かつての不安な日々が再びよみがえった。二十五日、米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)のパラシュート降下訓練。工芸センターや福祉施設、保育園のある民間地域に、突如、落下傘の兵士たちが降下。演習場外降下は、海兵隊などによってこれまでにもあったが、「やみの軍団と呼ばれる男たちが目の前に降りてくるとは…」と、平穏を破られた住民たち。「演習には反対運動をとらない」と言っていた山内徳信村長までも現場を調査し「演習場の撤去を求めていく」とカンカン。二十六日、那覇防衛施設局などへ抗議行動を展開するが、同演習場の機能移設問題とからんで論議を呼びそうだ。
【読谷】あわや園児らを直撃!米軍読谷補助飛行場で行われた米陸軍特殊作戦部隊(グリーンベレー)によるパラシュート降下訓練は、六人(村役場確認)が強風に流されて提供施設外の民間地域へ降下するアクシデントとなった。一帯には公共施設や保育園などがあり、すぐ近くには住宅が集中している。事故を知った付近住民らは「これではうかうか道も歩けない」と、米軍のズサンな演習に怒りの声をあげた。
村役場の調べでは区域外へミス降下したのは六人。そのうち三人は村立伝統工芸総合センター裏の雑草地などに、他の三人は勤労者体育館北側の豚舎付近へ降りた。
事故を目撃した同センターの男子職員によると三人はほぼ同時に建物のすぐそばへ着地した。「いつかはこのへんに落ちるのではと思っていた。もうちょっとで屋根にぶちあたるところでヒヤッとした」
隣接する「子どもの世界幼児園」(仲松庸次園長・六十人)でも職員らが肝をつぶした。ミス降下した地点が中庭とフェンスひとつ隔てたところで、以前は園児らの畑として使われていた。保育園の敷地内への降下に園側も大きな衝撃を受けている。
仲松園長は「開園して三年になるが、こんなことは初めてです。ちょうど朝の通園バスが子どもたちを乗せて戻ってきたところで、庭で遊んでいる子もいた。子どもを預かっているので不安ですよ。早く訓練をやめてほしい」と話していた。
またパラシュート反対・グリーンベレー反対村民の会の山城正輝会長「一番心配していたことが起こった。早急に危険な演習を中止し、基地を撤去させるべきだ」と訴えた。
一方、事態を重視した村■村議会は対応を協議し、■■六日に山内徳信村長、伊波■徳議長らが米総領事館や那覇防衛施設局などを訪ねて抗議と演習場の撤去を要請することにしている。
《ムッとした表情=宍倉長官》 米軍、開き直りの姿勢?
折しも、沖縄基地視察のため来県した宍倉宗夫・防衛施設長官。記者会見で「十人の兵士の内六人が南風にあおられ…。施設局としてはすぐに米軍に注意したが、原因がはっきりししだい改めて申し入れる」と、困った表情。
在沖米陸軍報道部は「上空での風力の増加によるもの」と、釈明したが、演習場外降下兵の数については「三人と報告を受けている。境界の判断が違っているのでは」と”六人説”を否定したい様子。
《民間への降下に抗議 山内読谷村長ら代表 施設局に中止を要請=パラシュート訓練》
二十五日読谷村の米軍読谷補助飛行場で在沖米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)のパラシュート降下訓練中、六人が民間地域にミス降下した事故で同村の山内徳信村長、伊波栄徳村議会議長ら代表約十五人は二十六日午前、那覇防衛施設局の笹原恒雄施設部長に会い、抗議と演習場の即時撤去を求めた。
山内村長らは「グリーンベレー二十人が二回にわたって降下演習をした際、一回目は十人中五人が目標地点から大きくそれ、村立運動広場周辺に降下。二回目は十人中六人が演習場外の民間地域に降下。とくに保育所近くに三人が降下したことは言語道断というべきこと。棚原隆子ちゃん事件(昭和四十年六月落下してきた米軍トレーラーに圧殺)が再び起こりかねないと、村民は不安を抱いている」と訴えた。
また代表らは前日宍倉防衛施設庁長官が、同演習場の機能移設問題について言及「早期結論は困難」と述べたことに対し、「本当に村民のことを考えているのか」などと抗議した。
これに対し、笹原部長は「幸い被害はなかったものの、幼児園などのそばに降下したことは重大なこと。すでに口頭で注意をしたが、管理部隊の海兵隊と陸軍に改めて再発防止策などを求める」と答えた。