読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1996年7月発行 広報よみたん / 39頁

【見出し】民間地域につぎつぎ降下(読谷) 高高度から米陸特殊部隊が”侵入” 突然住民の頭上に・・・訓練着地地点大きくずれる まるで戦場と激怒

【読谷】これでは戦場と同じだ!畑仕事をしていた農家の人たちの頭上に突然、パラシュート兵らが舞った。かすめるように国道58号線沿いの住宅街に隣接するキビ畑に次々と着地する米兵ら。十五日午前、米軍読谷補助飛行場での陸軍特殊部隊・グリーンベレーによるパラシュート降下訓練は、復帰後かつてない十人が、ターゲットを大きくはずれて民間地域に落下する異常事態となった。民家まで目と鼻の先。降下ミスを知った付近住民らは「なぜこんなところまで…」と、現場をながめながら震え上がった。山内徳信村長、村議会代表らは「傍若無人な米軍の振る舞いに憤りを感じる」と、ただちに抗議声明を出した。

 この日米軍は午前十一時二十一分から八人ずつ二回に分けて同補助飛行場では初めての三千㍍上空からの高々度降下訓練を実施した。最初の降下で三人が主滑走路から東側五十㍍の提供施設外のキビ畑へ落下。
 二回目の八人はほぼひとかたまりとなって、施設外へ大きくそれ、七人が同村伊良皆の国道58号から約百五十㍍地点のキビ畑、農道へ着地した。すぐ近くでは農家の人ら数人が畑の手入れをしていたがけが人はなかった。また目と鼻の先には住宅やゴルフ練習場などの事業所が密集しており、一歩まちがえば大惨事となるところだった。
 米兵らの降下したところからわずか五十㍍しか離れていない民家の主婦らは「ヘリコプターの音はうるさかったけれど、家の中にいたので気がつかなかった。こんなに近くに降りたんですか。万が一を考えたらゾッとします」と顔をしかめた。
 同村役場、議会はただちに対策会議を開いて米軍、那覇防衛施設局へ抗議と訓練中止を要請。山内村長は「国、米軍はここを戦場だと思っているのか。国民の生存権を守っていくのが国のつとめなのに、その努力がされていない。強い憤りを感じる。これまでも数限りない事故を起こしており、もはや演習場として不適格なことは明らかだ」と怒りをあらわにした。
 同補助飛行場はすでに日米間で「演習場として不適当」だとして移設が合意されている。転用計画案もまとまっており、村では今後全面撤去へ向けた運動を盛り上げていくことにしている。
《きょう施設管理の海兵隊当局が陳謝》
【読谷】今回の降下事故で米軍当局は十六kに地午前に海兵隊訓練部長・ナーボー大佐が村役場に山内徳信村長を訪ねて陳謝する。
 村当局は当初、グリーンベレー部隊長の謝罪と釈明を求めていたが、演習場を管理する海兵隊の申し入れを了承した。山内村長は、同訓練部長に対して過去の事故などを説明し、演習場としての不適格性を訴える。

《山内村長が厳重抗議 施設局に早期移設訴える》
 グリーンベレーのパラシュート降下訓練の際、演習場外に降下ミスした問題で、読谷村の山内徳信村長、儀保輝和副議長ら代表七人は十五日午後、那覇防衛施設局に弘法堂忠局長を訪ね、「降下した場所はターゲットから千㍍も離れた住民地域である。米軍の事故二は怒り心頭に発している」と厳重に抗議するとともに、読谷補助飛行場の早期移設を重ねて訴えた。
 山内村長らは、演習場の範囲を示しながら「国道58号線寄りで、一帯はゴルフレンジもある住民地域。農耕地に七人が飛び込んできた。パラシュートが落下するのにおびえながら生活しなければならないのか。まさに異常な状態だ。村の真ん中に演習場があるのは問題で、七年前の移設が必要との日米間の合意を早く実施してほしい。また米軍は戦場意識をもっているとしか思えず、訓練の終盤での降下ミス (ここまで)

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