読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1996年7月発行 広報よみたん / 42頁

【見出し】空と地上で”わがもの顔”広範囲に通行規制 村民相次ぐ訓練ミスに怒り

《米軍、2訓練(落下傘降下損害査定)を同時実施》
【読谷】空を見上げれば群をなすパラシュート兵、地上では模擬団を取り囲んだ防毒マスク兵ー。米軍読谷飛行場は三十一日午前、パラシュート降下訓練と滑走路損害査定訓練が同時に実施されるという例のない光景が繰り広げられ、一段と強い村民の反発を招いた。
 滑走路のヨコにロープを張り、村民に「外に出ろ」と警告する海兵隊MP。クイを手に「二つの訓練を一緒にやるとはめちゃくちゃ。ここはもともとわれわれの土地だ」と米兵にくってかかる山内徳信村長。そんな中、舞い降りた米兵が民間地域に流れる”事故”が発生、滑走路周辺は一時騒然となった。
 滑走路周辺はこの日、二つの訓練が実施されるとあって午前六時過ぎからかつてない広い範囲に交通規制がしかれ、警備に当たる海兵隊と嘉手納署が住民の立ち入りを厳しく規制した。県警は装甲車三台で機動隊を動員する物々しさ。ふだん、通勤や通学の作業に向かう生活道路として飛行場内の道を利用している村民は完全にシャットアウトされ、従来、滑走路上にテントを張って抗議してきた村民も前もって締め出された形になった。
 「それならと逆に村民が入り口を封鎖、米兵を入れなくしてやる」と怒りを募らせる抗議団、「われわれは警備に来ているだけ」といって見張りのMP、嘉手納署員。しかし、山内村長は頑としてロープの外に出ず「村民は何年闘っていると思うか。政府はこの土地を返すといったんだぞ」と声を荒げた。
 米軍は午前七時四十分に降下訓練を始めたが、いきなり降下した一人が提供施設外に流れるミスが発生。抗議団は「外れたぞ。あそこだ」「絶対に逃がすな」と、滑走路北側のキビ畑に走った。MPや嘉手納署員らも現場に直行したが、米兵はキビ畑の中をぬって一目散に逃げた。
 抗議団は「ここ一月で四回も民間地に流れている。いつか大きな事故が起きる」とカンカンだった。

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