読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1996年7月発行 広報よみたん / 47頁

【見出し】演習場を即時撤去せよ 読谷村議会が決議 施設局に国の責任追求

【読谷】一歩誤れば、大惨事につながる。訓練はやめろー。二十二日午前、読谷補助飛行場で発生した在沖米軍特殊部隊(グリーンベレー)のパラシュート訓練による民間地域落下事故で、読谷村議会(儀保輝和議長)は同日午後、臨時議会を開き「場外落下事故に対する抗議及び演習場の即時撤去を求める抗議決議・意見書」を前回一致で採択した。同議員らは同日午後、那覇防衛施設局を訪れ決議文を手渡すとともに、厳重に抗議した。
 事故の連絡を受けた村役場は、山内徳信村長が出張中ということもあり、連絡や対策を協議するなど一日中、対応に追われた。
 事故の連絡を受けた村議会は午前中に即、緊急全員協議会を開催するなど対応に大わらわ。急を聞いてかけつけた議員らは午後零時半ごろ、落下場所の東恩納ハツ子さん宅(同村楚辺一二七九ノ二八)を訪ねて現場調査した。
 東恩納さん宅の庭には、折れ口が真新しい庭木の枝や、米兵のものと思われる花壇を踏み荒らした足跡などが残っていた。議員らは口々に「これはひどい。もし通学中の子どもの上にでも落ちたら大惨事だった。米軍施設を早く撤去してもらわないと困る」と苦々しい表情。
 その後、臨時議会を開いて「落下事故は断じて許さない。村民の生命、財産を守り快適な生活環境を築くためにも、演習場の撤去を求めて日米関係者に積極的に取り組むよう要求する」と抗議決議、意見書を採択した。決議文は在沖米軍と米国総領事、駐日米国大使に送る予定。
 また、村役場では村長への連絡取りや、今後の抗議行動などの対策協議に追われた。ある村役場の男性職員は「今日の米軍は、訓練開始の通告時間を無視して演習を始めたり、嘉手納署の警察官の忠告を聞かずにいつも立たない場所に憲兵を配置するなど、朝から様子がおかしかった」と話す。同職員によると、これまでの訓練時には、施設局職員を訓練場内には入れるが、この日は立ち入りさせなかったという。
 米軍には、山内村長が東京出張から帰った後の二十五日以降に抗議する予定。
 二十二日発生したパラシュート降下ミスで、読谷村議会と村当局代表ら約三十人は同日午後、那覇防衛施設局に対し、同訓練の中止と、施設返還を求めた抗議・意見書を提出した。「安保条約のために、読谷村民を守れないのか」と強い区と湯で国の責任を追及した。
 儀保輝和議長や安田慶造助役らは「通報の訓練時間より三十分近くも早く開始された。黙認耕作地で作業するお年寄りもいた。あまりにもズサンな演習なうえ、狭い訓練場であることは、施設局も認識しているはずだ」と、演習中止と返還を求め、施設局の対応をただした。
 同局の菊本修事業部長は「米側に対し、事故原因と訓練がマニュアル通りにされたのか、在沖陸軍に問い合わせているが、まだ返事がない。安全を徹底した訓練のあり方を見直すよう求める。返還実現に向け鋭意努力している」と答えた。
 抗議団は「小学四年の少女が、落下したトレーラーに圧殺された事故をほうふつとさせ、恐怖だ」と抗議。現場を目撃した村議は事故の模様について「米兵は庭の植木を倒し、軍靴の足跡を残して、へいを乗り越え逃げようとした」と説明し「まるで戦場だ。通学路に近い場所であり、国は住民の安全を守れないのか」と怒りをぶつけた。

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