日米安全保障協議委員会のため来日中のウィズナー米国防次官は十一日、防衛庁の畠山事務次官との会談で読谷補助飛行場の返還問題について「近い将来進展が期待できる」と述べ、年内にも返還するとの意向を表明した。
しかし、外務省や防衛施設庁は、年内返還については否定的な見方をしている。
ウィズナー国防次官は、返還には同飛行場で実施されているパラシュート降下訓練の機能移設と、隣接する通信施設の維持の問題があるとしながらも「次回の次官協議の時にはこの問題は議題にならないだろう」と述べ、早期返還の見通しを明らかにした。
米側は二月末に訪米した米山防衛施設庁長官に対して同飛行場の返還を「検討する」と約束していた。
読谷補助飛行場は一九四五年の米軍占領から現在まで継続使用されており、米海兵隊の管理下で陸軍特殊部隊の降下訓練などに使われている。六五年には物資投下訓練でトレーラーが落下し子供が死亡する事故もあり、旧地主らの用地返還運動が続いている。
《読谷補助飛行場問題》
【東京】米軍読谷補助飛行場の返還問題に向けて検討を進める「読谷補助飛行場特別作業班」の設置が十六日午後、東京都内のニューサンノー米軍センターで開かれた日米合同委員会で承認された。同作業班はパラシュート降下訓練の代替地問題や楚辺通信所の移設の可能性を含め、同飛行場に関連する諸問題について技術的な検討を行うのが目的。同作業班の設置に伴い、これまでの「落下傘降下訓練場代替地検討特別作業班」は廃止された。
防衛施設庁は「返還するという話ではないが、返還が見えてきたということ」と話しており、返還に向けて第一歩を踏み出すことになりそうだ。
読谷補助飛行場でのパラシュート降下訓練廃止と同施設返還は、那覇港湾施設の返還、県道104号越え実弾砲撃演習の廃止とともに県が「太平洋戦争・沖縄戦終結五十周年の節目の年(一九九五年)までに解決を図ってほしい」と訴えている重点三事案の一つ。
同飛行場が、通称「象のオリ」と呼ばれる巨大アンテナ群のある米海軍楚辺通信所の電波緩衝地帯になっていることから、仮に降下訓練機能を移設しても返還は難しい—として問題解決に向けた日米両政府による作業が難航していた。
今回の特別作業班は日米合同委員会施設特別委員会の下に設置され、日米合わせて二十人前後のスタッフで編成される。日本側は防衛施設庁施設部の砂糖晃連絡調整官を議長に予定している。米側も問題解決に積極的な姿勢を示しているといわれ、戦後五十年に向け長年の懸案は大きく前進する可能性が出てきた。
《具体的な進展を期待》
吉元副知事の話 読谷補助飛行場の返還は、地域の産業振興および県民生活の安定を図る上で重要な課題となっており、かつ県民の返還要望も極めて強い事案である。来年の太平洋戦争・沖縄戦終結五十周年の節目の年までに、目に見える形で実現されるよう、日米両政府に対し強く要請してきた。今日(十六日)の発表が読谷補助飛行場の返還に向けて、具体的な進展を図る第一歩になることを期待する。
読谷補助飛行場:米海兵隊の管理する施設。主に陸軍特殊部隊と海兵隊がパラシュート降下訓練で利用している。周辺は黙認耕作地でキビなどが植えられている。施設内は幅四十㍍、長さ二千㍍の古い滑走路が走っているが、現在は航空機の離着陸には使われていない。施設外への落下でこれまで度々、村民との間でトラブルが生じている。面積は百九十万六千平方㍍。地主は二百十九人。