読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1997年2月発行 広報よみたん / 2頁

【見出し】海のイノー利用を考えよう 沖縄開発庁長官が読谷村を訪問 <基地を視察>

 読谷村は14㎞海岸線で六〇〇㌶の珊瑚礁海域(イノー)を保有している。沖縄の誇る自然であり、昔から生活や祭事・生産の場であったイノーを今後どう利用管理をしていくべきか、考えるきっかけにしてほしいと十一月十九日、読谷村経済振興課主催でフォーラム「イノーの利用・管理を考える」が漁協集会施設で開催された。
 基調講演では、上田不二夫沖縄大学教授が『沖縄の海と村』と題し、沖縄での琉球王朝時代から現在までのイノーの利用の仕方とルールについて話した。
 講演では「イノーは海の畑として住民に利用され、日常のおかずとして海産物が利用され、字単位を基本にイノーの管理が行われてきた。しかし、本土復帰の新漁業法の適用で現在の漁場の管理形態になったが、旧権利の清算がなされず、旧慣習と現法があり、本土と違った意識が住民側・漁業者の双方にある。これらの歴史的背景から、本土と違う漁業法の運用が必要である」と説明し、法整備面では「漁業者の漁業権に対して住民のイノー権・環境権等の必要性がある」と説いた。
 フォーラムでは、沖縄環境分析センターの西銘氏の進行で、県漁政課の金城英子氏、住民代表の比嘉松市氏、漁業者の新里光雄氏、水中カメラマンの横井謙介氏の四氏が発表した。
 金城氏は「共同漁業権の趣旨が枯渇しないように、資源の維持管理することが前提であり、また住民が習慣としている海の利用を拒むことはできない」と漁業と地域住民のイノーの利用調整の必要性を説明。比嘉、新里の両氏は、小さい幼年の頃からの豊かな海の思い出や現在のあまりにも変わった現状を嘆く発表を行い、海の環境の改善を訴えた。
 横井氏は、修学旅行の話を例に挙げ、従来のマリンレジャーがイノーを学習の場に使われるようになったことを紹介し、学習する場としてのイノーづくりを提案した。
 総合討論では、フロアーからも意見が出され、「環境悪化の原因として排水路の整備で生活雑排水が流れこむようになった」こと、「海の利用者にマナーが欠けている」「海の利用に対して村条例等で規制ができないのか」「資源回復のため保護水面の必要性」、その他漁業権に対しての日頃からの疑問が多く出された。
 最後に、イノーの環境を改善するには地域の人が海の管理に積極的に関わる必要がある。今フォーラムを考えるスタートにし、読谷の取り組みが県内のモデルになるようにしようと結んだ。
文:大湾勇(経済振興課)

 先に発足した第二次橋本内閣で、北海道・沖縄開発庁長官に赴任した稲垣実男長官が那覇市の都市モノレール事業の着工式への出席のため来県し、その一方で県内の基地視察を目的に十一月二十七日午前に本村を訪れました。
 限られた時間の中、本村では座喜味城で当真嗣清助役や議会議員、役場部課長らが稲垣長官を出迎え、当真助役が読谷村における米軍基地の問題や読谷飛行場転用計画、返還軍用地の跡地利用の状況などを詳しく説明し、開発庁長官の理解と協力を求めました。
 これに、稲垣長官は「基地が順次返還され、村や県など、地元の創意に基づいた計画によって21世紀への夢を拓くことができる。私達はできるだけそうなるよう頑張らせていただきます」と応え、座喜味城を後にしました。

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