読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1998年1月発行 広報よみたん / 16頁

税金って何だろう(読谷高校三年 棚原奈々枝)

 国民一人ひとりが税の意識や役割を正しく認識し、税務行政への理解と信頼を深めることを目的に、「高校生の税に関する作文募集」(沖縄税務署主催)が行われ、これに応募した読谷高校3年生の棚原奈々枝さんが沖縄税務署長賞(優秀賞)に輝きましたので、その受賞作品『税金って何だろう』を紹介します。

 「税金って何?」父に初めて聞いたとき、意外な返事に驚いた。その時の私には、理解し難い言葉だった。父は、「納めなくてはならない必要なものだ」と言ったからだ。
 「税金」今までその言葉の意味も知ろうとせず、ただ取られるばかりの、嫌なお金だと思っていた、と言うのは、母の「また税金が増えるのね」といった税に対しての愚痴と嫌みっぽい仕草ばかりだけしか、私は見ていなかったからだろう。
 しかし、そうではなかった。「税金」とは世の中になくてはならない重要さがあるのだ。
 その一つが、学校の備品や施設などだ。今までは何も知らずに、ただの備品として扱っていた。しかし、それらは、私たちの親が納めている「税金」によって買われたものであると知り、なんだか今までやってきた行いを反省しなければならないと思った。なぜなら私は、学校にある掃除の用具やあらゆる備品を何も考えずに無駄にしたり、乱暴に使ったりしていたからだ。無くしたり壊したりしても、すぐ別の新しい物に換えることができたので、いつの間にか大事に使うという、あたりまえのことを忘れてしまっていた。こんな風に学校の物をむやみやたらに扱うことは反省すべきことであるが、なんの不自由もなく学校生活を送ることができるのは、「税金」のおかげであるということを忘れてはならない。私たちは、知らずのうちに「税金」の中で暮らしているのだ。
 また、私たちの生活の中で最も大切な働きをしてくれている社会保障も「税金」によって成り立っている。生活に困った人々を助ける生活保護、病気、老齢による収入減などに対応する社会保険、さらに児童、老人、身体障害者への社会福祉のほか、生活不安の原因を解消し、安定した生活をみんなに送れるようにしてくれる保障。これらは全て「税金」があるおかげであると言えるだろう。 けれど今、日本では、平均寿命の伸びと少子化が著しく、高齢化が進んでいる。このため年金や医療費などの社会保障給付金が多くなってきている。ということは、働き手の負担が増加してきているのだ。私たちも、あと数年すれば働き、税金を納める一人となる。だからこれは、私たちにとっても目をそらすことのできない重要な問題である。
 先日、病院窓口での患者の医療費負担が引き上げられた。これは増え続ける医療費を保険料や税金では賄いきれなくなったため行った医療改革である。しかし、高齢者にとってのこの改革は、この先の生活に不安を抱かせざるをえないこととなるだろう。私たちは、これから、世の中をもっと快適に暮らせるように、バランスのとれた社会をつくっていかねばならないのだ。
 なぜ「税金」が必要なのか、「税金」がなければどうなるのか調べていくと、私たちが生きていく中で不可欠なものであるということがよく分かる。学校の建設や教育環境の整備、道路の建設や福祉サービスなど、その一つ―つが私たちの生活と深く関わっているのだ。安心して豊かに幸せ
に暮らしていくために、その仕事の費用となるのが「税金」なのである。よい生活水準を目指し、それを実現するためには、それなりの財源が必要になる。
 私たちは、生活のすべてが「税金」から成り立っていることを十分に理解し、ありがたく感謝しなければならない。そして、私たち一人一人がもっと税に対して関心を持ち、税を身近なものとして受け止め、考え、そしてその意義や役割を正しく認識し、理解していくことが最も大切なことだと私は信じている。
 「税金」それは私たちが生活していく中のあらゆるところで機能している、とても重要なシステムである。私は、これから社会へ出ていくために、まだほんの少しかもしれないが、税という大切な役割を知ることができ、本当によかったと思う。なぜなら、私が納税者となった時、安心して豊かに幸せに暮らせるような世の中をつくっていくために、快く税を納めることのできる、一人の納税者になれるからだ。

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