沖縄県教育委員会は「知・徳・体の調和のとれた人間の育成を目指し、幼児児童生徒一人ひとりの学力を伸ばす」ことを目標に、平成九年~十三年までの五ケ年間を『学力向上推進期間』と位置づけ、「主体性」をキーワードに据え諸施策を展開しています。
その県の施策を踏まえ、読谷村学力向上対策推進協議会(知花亀次郎会長)では、「学習意欲を高め、基礎学力の向上を図り、心豊かなたくましい幼児、児童、生徒を育てる。~学校・家庭・地域はどのように取り組めばよいか~」を実践目標に取り組んでいます。
この学対の「平成九年度の学力向上対策実践報告会」が二月十三日午後、村総合福祉センターで開催されました。
会場には、村議や各字区長、民生児童委員等の来賓を含め村内各小・中・高校長や教諭、PTA関係者ら約三百余名が参加する中、長浜宗則学対副会長の開会のことばの後、知花会長は「学校における基礎的・基本的事項の定着を目指した授業のエ夫・改善に取り組む全教職員の努力とその着実な成果」と、村内各地域における各種団体・個人による「あいさつ運動や花いっぱい運動」への積極的な取り組みに対して謝意と尚一層の取り組みの充実・強化を訴えました。続いて、当真嗣清助役と儀保輝和村議会議長が激励のととばを述べました。
その後、実践報告に移り、知名定男学対事務局長の実践経過と成果・課題の報告を皮切りに、①学校教育部会(幼稚園部会=与久田洋子、小学校=高良千恵子、中学校=比嘉達)、②家庭・地域教育部会(米須良成、父母代表=知花綾子、古堅友子)、③調査・研究部会(知花優)の各専門部から、一年間の実践の様子が報告されました。そして、下地宏邦中頭教育事務所指導主事の講評の後、伊波清安教育長のあいさつ文「過去十年間にわたる村民ぐるみの実践活動の展開のおかげで、児童生徒の学力が数字として着実に向上している…。各部会員、地域のご理解、児童生徒のふんばりに対し感謝したい…」旨が、上地正一教育次長により代読され、盛会のうちに閉会しました。
【成果】
(1)達成度テストの得点の推移から見て、小学校は順調に成果が現れている。
(2)TTの効果的な活用が各学校とも指導主事を招聘しての研修で深められた。
(3)読書活動は、計画的に継続して取り組まれ、量から質へと内容面の充実が図られてきた。
(4)基本的生活習慣の形成で、学校便り、学年・学級便りや授業参観等で父母、地域に学校が情報を発進し、協カ・連携を強化する開かれた学校として取り組まれている。
(5)両中学校で「校区生徒指導連絡会」の活動や地域での関係機関との協カ・連携で生徒指導は効果を上げている。
(6)相互授業の実施で校種間の授業研究会や学校経営等を参観することにより「参加する授業」「分かる授業」 及び学級経営の改善が図らたれた
(7)毎月第二週の教育委員会の「あいさつ運動広報活動」の継続と各学校・地域の積極的な「あいさつ運動」の取り組みにより、学校・地域で明るいあいさつを交わす雰囲気が醸成された。
【課題】
(1)小学校の成果に比べて、中学校の成果が数値として見えない。
(2)中学校で補習指導が週時程で設定してもほとんど実働してなく、未到達生徒への個別指導(補習)時間の確保が困難。
(3)教師個々の実践活動(週案への基礎・基本の明示、諸資料の常時活用等)の充実。
(4)男女差への対応として「実態調査」を実施し、児童生徒の実態に応じた指導が図られてきているが、格差はまだまだ大きい。一層の取り組みが必要。
文・教育指導主事
比嘉宏