読谷の自然(36)鳥類編【旅鳥】
渡りをするツバメ~ツバメ~(ツバメ科)
県内では春先と秋口の年二回姿を見せるツバメで、村内各地でも見ることができます。特に畜舎周辺では渡りの時期に数多く見られ、しばしばその近くの高い電線に数十羽もとまり、集団で休息する姿が見うけられます。
本種は日本本土では夏場に飛来してきて、雛(ひな)を育てる夏鳥ですが、県内で繁殖することはなく、春先と秋口に集団で渡ってきてしばらく留まり、そして、通過していく渡り鳥(旅鳥)です。
方言では大型台風が襲来(しゅうらい)する八月下旬から九月頃によく見られるためか「カジフチマッタラー」と呼ばれています。
小さなハエやカなど飛翔(ひしょう)性の昆虫を飛びながらつかまえてエサにするため、道路上を低く飛んだり、畜舎上空を輪を描くように行ったり来たりして飛び回ります。
県内には同じ仲間で渡りをしない「リュウキュウツバメ」が生息しています。したがって、春と秋には二種のツバメが混在してますが、「ツバメ」は尾羽が長く、腹部が白いのが特徴ですから、飛んでいる時でも、この二か所に気をつけると両者を識別することが容易にできます。
文・・県立博物館学芸員 嵩原建二