読谷の自然
留鳥◎
正式な名前の無い鳥
ーウグイスー
(ウグイス科)
大きさは十五㎝と小さく、「ホーホケキョ」という聞きなしが良く知られている鳥です。
ちょうど今の季節に繁殖期に入っているため、時々この声を耳することがありますが、非繁殖期の冬季には「チャ、チャ」と「地鳴き(特に「笹鳴き」ともいう)」に変わります。
さて、タイトルに「名前の無い鳥」としたのは、沖縄島で留鳥としてくらす在来のウグイスにはまだ正式に名前が付けられていないからです。正式にというのは通常、鳥類にはそれを研究する上で和名(日本名)の他に世界共通にラテン語で表記する「学名」をつける約束事があります。最近の研究によると沖縄島にすむ在来の「ウグイス」は、大東諸島で絶滅したとされる「ダイトウハシナガウグイス」にかなり近い姿・形をしていることが知られていますが、研究の中途にあり、正式な名前がまだつけられていません。これまで「リュウキュウウグイス」とされてきた「ウグイス」は、冬季に北方から渡ってくる「チョウセンウグイス」ではないかと考えられていますので、意外にもよく知られている鳥に名前が無いままの状態が続いているわけです。
この沖縄島で留鳥としてくらす「ウグイス」は、村内でも農耕地や牧草地、ススキ草原、森林などで普通に見られます。しかしながら、冬季には本土産の「ウグイス」が大挙して渡ってくるため二種類が混在し、見られる数が倍近くに増えます。この時期には「チャ、チャ」と「地鳴き」する声が至るところで聞こえます。
文・沖縄県立博物館学芸員
嵩 原 建 二