沖縄の美(8)読谷村立美術館収蔵品
「掻落し牡丹文抱瓶」
上江洲茂生作。一九八六年。一九×二五×一三㎝。
作者の上江洲茂生氏は、那覇市出身。一九七〇年壷屋の小橋川永昌氏に師事。一九八〇年読谷村に茂生窯を開窯。沖展や現代沖縄陶芸展等で数々の賞を受賞する他、東京、大阪等で個展や陶芸展に出品。一九九八年に沖縄タイムス芸術選賞大賞を受賞。現在、沖展会員、新生美術協会員。
壷屋の伝統技法を基に、独自の造形感覚を生かしたのびやかな作風は高い評価を受けている。
この作品は、抱瓶(腰に下げる携帯用の酒器)の形に化粧掛けをし、線彫りで格子と牡丹文がいきいきと描かれ、牡丹文様が浮き出すように周囲を削り落とす掻落しの技法を用いており、呉須、飴釉、緑釉による手慣れた筆使いが作品を印象深いものにしている。