読谷の自然(51)鳥類【夏鳥】
エリの黒いアジサシ
ーエリグロアジサシー
(カモメ科)
ベニアジサシやコアジサシなどと同様に、県内に夏鳥と飛来してくるアジサシです。大きさは三〇㎝で、全体的に白っぽく、スマートな鳥です。頭頂も白色ですが、目先から後頭に向かって細い二本の黒い帯がのび、後頭部でつながるため黒いエリのように見えます。また、くちばしは長めで黒色になります。
同じ時期に岩礁や砂地に覆われた無人島などで繁殖するベニアジサシの集団的な繁殖地(コロニー)に混じることもありますが、海岸近くの小さな岩礁や海洋上の孤島などを営巣場所として選び、コロニーを形成する数もベニアジサシほど多くありません。卵の数は一から二個で、人が巣に近づくと「ギイーイ、ギイーイ」と鳴きながら飛び回り、時には人に攻撃をしかけ、頭部をかすめるような威嚇の飛翔を繰り返して警戒します。
エサは主に小魚で、ベニアジサシに混じり沖合を飛び回りながら、水面をかすめるようにして魚類などを捕らえます。
村内では渡具知や楚辺、都屋、残波岬、長浜海岸などの海岸沿いなどを飛び回り、採餌する個体を見かけることがあります。
文・県立博物館学芸員
嵩 原 建 二