読谷の自然(52)
鳥類【旅鳥】
目の大きなチドリ
~メダイチドリ~(チドリ科)
九月ともなると暑い沖縄でも幾分涼しくなりますが、地球を南北に渡る渡り鳥も季節をたがわずに訪れます。特にこの時期は沖縄よりさらに南
方で越冬するため沖縄に少しの期間滞在します。
その代表的なチドリ類のひとつが「メダイチドリ」です。大きさは二〇㎝で、背中はうすい灰色、首から胸にかけて濃い灰色の帯が出ます。一般的にチドリ類は目視してエサをさがすため、目が大きいのが特徴で、本種の和名である「メダイ」もそのその事に由来するようです。
本種はカムチャッカ半島などで繁殖し、冬は東南アジアやオーストラリア沿岸、太平洋の島などに渡って越冬します。その途中に沖縄にしばらく立ち寄ります。八月下旬頃から県内各地に姿を見せ始め、キアシシシギに混じって小群をつくり、海岸線や河口近くの干潟などで羽を休めます。沖縄は本種のような渡り鳥にとって、旅の疲れをいやし、渡りのエネルギーを補給する中継地として絶好な地理的な位置にあります。メダイチドリは村内でもふつうに飛来し、渡具知や楚辺などの砂浜のある海岸で見られます。
文・沖縄県立博物館学芸員
嵩原建二