読谷の自然(55)
鳥類【旅鳥・冬鳥】
黒白のヒタキ~ノビタキ~
(ヒタキ科ツグミ亜科)
今年は例年に比べ暖かい初冬のように思えますが、渡り鳥は季節をたがわずに訪れます。この小型のヒタキ類であるノビタキは本土では夏鳥ですが、県内では数少ない旅鳥や冬鳥として飛来してきます。
大きさは一三㎝とスズメより少し小さく、雄は頭部や背中が黒色で、首の横や腹部が白色になり、白黒のコントラストがはっきりしている鳥です。まだ、胸部のオレンジ色がよく目立ちます。雌は全身淡い褐色で、背中にははっきりした暗褐色の縦しまがあります。
主に農耕地や草原、荒れ地などで越冬している個体がしばしば見られ、飛び出した細い杭や小枝などによくとまり、尾羽を上下にゆする習性があります。また、じっと細い枝先にとまっていては、空中や地上の昆虫に飛びついて捕らえ、また元に戻るという習性もあります。
村内では残波岬のススキの多い草原で観察されましたが、おそらくキビ畑のそばや林縁、公園などの環境で見られることもあるでしよう。
文・沖縄県立博物館学芸員
嵩 原 建 二